【高校野球】夏初戦は5回終了時2-2の同点 昨夏甲子園8強の沖縄尚学 代打の切り札が重圧吹っ飛ばす一打
◆第106回全国高校野球選手権沖縄大会▽1回戦 沖縄尚学6-4名護(23日・Agreスタジアム北谷) 【詳細ページ】各地方大会の組み合わせ、日程など 出番はいつ来るのか。試合展開を読みながら、常に予測して準備している。 昨夏甲子園8強の沖縄尚学が、初戦特有の重苦しい雰囲気に包まれた。4回表まで2点をリードしたが、その裏、同点に追いつかれた。 チームを勢いづける打撃がしたい。背番号14の「代打の切り札」井上和流(3年)は5回終了後、グラウンド整備の時間になると、バットを振ってその時に備えた。比嘉公也監督(42)と目が合った。 「井上、代打の準備をしておけ」 「ハイ!」 やってやるぜ-。緊張なんてない。胸が躍る。これまでの練習の成果を出すんだ。 6回、1点を勝ち越し、なおも2死一、二塁の好機。北谷の夏空にその名が鳴り響いた。1ストライクからの2球目、外角スライダーを捉えた。打球は右中間に転がる。ダイヤモンドを駆け、三塁に到達した。2者が生還。一度は相手に傾いた流れを、再び引き寄せる一打だった。 「積極的に、甘い球が来たら打ってやろうと思っていました。準備はできていたので、後は打つだけでした」 昨夏の甲子園はスタンドで応援していた。チームは準々決勝に進出したが、優勝した慶応に敗れた。「慶応の応援はすごかったです。びっくりしました」。新チーム後もベンチ入りは遠かったが、代打要員として春からメンバーに名を連ねた。ところが県大会の準々決勝でエナジックスポーツに2-3で敗れ、夏のシード権を逃した。 「自分の走塁ミスで負けたんです。だから夏はリベンジに燃えています」。勝負強さを買われ、夏の沖縄大会の登録20人、最後の1枠に滑り込んだ。 身長166センチのバットマン。「小さいなりにしっかりつないで、出塁することを心がけています」と闘志を燃やす。比嘉監督も「初戦はこういう感じだろうなと思ったが、いい意味で勝ちきったことで、乗っていくんじゃないかと思います。きょうの勝因は彼の一本じゃないですか」とたたえた。 「次の試合も、チームに勢いをつけられる打撃をしたい。絶対、甲子園に行きたいです」と井上。どんな好投手が相手でも、一振りで仕留める。(加藤 弘士)
報知新聞社