【甲子園】指揮官として聖地に戻ってきた掛川西・大石卓哉監督「強い思い、が何事も動かしていくんだな、と」
祖父、父も掛川西卒業生
【第106回全国高等学校野球選手権大会】 2回戦 8月15日 第2試合 岡山学芸館(岡山)2-0掛川西(静岡) 掛川西への思いは、相当である。祖父、父も同校卒業生。「どっぷり、その真ん中に浸かっています」。2018年から掛川西を指揮する大石卓哉監督である。自身の中学時代、掛川西が大応援の甲子園で躍動する姿を見て「こういうところがあるんだ」。同校を志望し、野球部の門をたたいた。1998年夏、主将・遊撃手で甲子園に出場した。 「やればできるんだ、ということを学んだ3年間でした。憧れた学校で、良い思いをさせていただき、良い仲間にも恵まれた。今は指導者として、伝える役目。こんな幸せなことはありません」 2024年夏。26年ぶりの甲子園は、監督として戻ってきた。日本航空との1回戦で、夏の甲子園60年ぶりの勝利(8対4)。岡山学芸館との2回戦は0対2で惜敗した。 「昨秋の大会、(県大会地区予選の)初戦で負けてから、毎日、毎日、ここを目指してやっていた」。敗退したのは8月19日。この1年間、主将・山下陸人(3年)が精神的支柱だった。いつもユニフォームへ誰よりも真っ黒。何事も率先して、チームをけん引した。大石監督は優しい目で語った。自らの高校時代を重ね合わせるかのように。 「キャプテンの山下は入学以来3年間、甲子園でプレーすることだけを考えて、努力を重ねてきました。その目標を叶えたんですから、すごいですよ」
生徒から教えてもらった。やれば、できる。大石監督はしみじみと語る。 「強い思い、が何事も動かしていくんだな、と。コツコツと積み上げることが大事なのだと、再認識しました。アルプスの大応援、たくさんの人に支えてもらいながら、チーム一丸で戦い抜きました」 この試合、ポイントで山下主将からは「今日も強化だぞ!!」という声が出た。当然、後輩たちの耳に届いた。濃密な1年を過ごし、泥だらけの背番号6、チームリーダーの「思い」は新チームへと継承される。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール