有村架純&坂口健太郎にとって“愛”とは? 釜山国際映画祭で「さよならのつづき」に込めた想いを明かす
有村架純と坂口健太郎が主演を務めたNetflixシリーズ「さよならのつづき」が、第29回釜山国際映画祭のオンスクリーン部門に日本作品として初めて正式招待され、有村と坂口、黒崎博監督が10月3日に同映画祭で行われたワールドプレミアに出席した。 【フォトギャラリー】ワールドプレミアに出席した有村架純、坂口健太郎、黒崎博監督 本作は、事故で恋人を失った女性とその恋人に命を救われた男が、北海道とハワイを舞台に運命に翻弄される美しくも切ない愛の物語。完全オリジナルストーリーとなり、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」「余命10年」の岡田惠和が脚本を手掛けた。 釜山国際映画祭のオンスクリーン部門は、2021年に新設された配信ドラマ向けの部門で、その年に最も期待される話題のドラマを紹介する。世界初上映となるワールドプレミアには、満席の約800人の観客が来場。有村と坂口が韓国語で挨拶すると、観客から歓声があがった。 司会者から「脚本を書かれた岡田惠和さんと、この作品を作り上げるにあたって悩まれたと記事で読みましたが、制作過程を改めて教えてください」と質問された黒崎監督は、「最初の発端は本作のNetflix岡野真紀子プロデューサーの個人的な体験から着想を得てスタート」したことを明かし、「ラブストーリーではありますが、人を愛することってなんだろうという非常にシンプルな問いに対して、キャストスタッフ全員でその答えを探す旅をする為に、たくさんの綿密なリサーチを重ねていきました」と回答。 愛する人を亡くすも、はつらつとした姿を見せるなど、複雑な感情を持っているようにも見える主人公・さえ子を演じた有村は、役づくりについて「日本人はどちらかと言うと控え目で繊細な表現をすることが多いと思いますが、嬉しい、楽しい、悲しい、怒りのような素直な感情を思いっきり気持ちよく表現できるような女性像を目指しました。さえ子というキャラクターの強さや無邪気さを表現できたらいいなと思い挑戦しました」と試行錯誤しながら役を作り上げていったことを明かした。 有村同様、難しい役どころに挑んだ坂口は、「自分の体があって、そこにある種2人の意識があって、撮影中も今は一体どちらの自分なのか説明ができないほどでした。そんな経験は誰もしてきていないからこそ、監督とスタッフと話し合いながら少しつづ積み上げていきました」と述懐。「正解がないと思っていたので、ひとつのシーンを何度も紆余曲折を経ながら地道に積み上げるように撮影していきました。今でも正解はわからないですが、みんなで人物像を作り上げていきました」と振り返った。 重要な鍵となるピアノの演奏シーンについて質問された坂口は、「大変でしたね(笑)。でも、今までピアノを弾いたことがなかったのに、突然ピアノの演奏ができてしまうあのシーンはある種ファンタジーだと思うし。いろいろな角度から何度も撮影したので、撮影自体もそれに向けた練習も、時間をかけて臨みました」と舞台裏を明かした。 観客から「みなさんにとって愛とは何でしょうか?」と問われると、黒崎監督は「この作品を撮りながら思っていたのは、『愛とは恐れ』です。人を愛するということはとても幸せなことです。でも本当に誰かを好きになってしまった時に、その愛が、自分自身を、また、相手や他の誰かを傷つけるのではないか、そういった、いろいろなかたちの愛がこのドラマにたくさん込められています」と話し、「その心情をこの2人が繊細に感じながら演じてくれました」と有村と坂口を労った。 有村は「私が思う愛とは、涙。想うからこそ、友達でも家族でも恋人でも、うれし涙や悲しい涙を一緒に流したり、自分の心が1ミリでも2ミリでも動くものに対しては、すべてに愛が生まれている証なのかなと思います。素敵な景色を見て何故かわからないけど涙が出たり、そういったものに出会った瞬間にさえ、愛が生まれるのかな、と思います」と回答。 一方、坂口は「僕は愛とは?って問われたときに自己犠牲と答えていて。恋人同士でも家族でも友人でも、自分のことを犠牲にしてまでも相手の為に何かしたくなった瞬間に、初めて愛になるんじゃないかなと思います。だからこそ、自分の中の愛の許容量を増やしておかなきゃいけないなと思いますね」と語った。 最後に、黒崎監督は「この映画祭にはたくさんの国からたくさんの作品が持ち込まれています。僕たちも、この作品の全8話の時間を使って精一杯人間の愛について考え描きましたが、それでも一作品で人間のごく一部しか描けないからこそ、この映画祭全体で積み重なり作品が育っていくことで、だんだん人間というものが浮かび上がってくるのではないかなと、昨日から参加していて考えています」とコメント。 有村は「大切な人が亡くなった時に、魂は生き続けていく、と思うことで自分の悲しみを受け入れようとすると思うけど、やっぱりそんな美しいことばかりを思えるわけではないと思うんですよね」と話し、「どうしたってそこにいて欲しい、触れたい、声が聞きたい、と思うことはきっとたくさんあって、だからこそ、今みなさんが思う大切な方達を今一度改めて想うことができたら私としてとても幸せなことだなと思います。どうか後悔のないように大切な人との時間を過ごして欲しいです」とメッセージを送った。 そして坂口は、「人間は必ずしも正しい選択はできないし、そこでどうしても間違いを犯してしまう時もあるし、それでも僕たちは生きていくんですよね。悲しいことがあっても僕らは一歩足を前に踏み出さないといけなくて。演じた役ではあるけれど、今見てもらった映像の中で彼らは確かに存在していて、呼吸していて、彼らのその生き様やストーリーを皆さんの心の中に残して欲しいと思います」と締めくくった。 Netflixシリーズ「さよならのつづき」は、11月14日より世界独占配信。