西武特急ラビュー5年、新旧車両を乗り比べた「大違い」は?
【汐留鉄道倶楽部】駐在していたアメリカから帰国して「是非乗ってみたい」と思っていたのが、今年3月で営業運転開始5年を迎えた西武鉄道の特急用車両「ラビュー」001系だ。先頭部が球面状になった金属調の塗装で、客室に縦1.35メートル、横1.58メートルの大きな窓ガラスが並んだ外観は革新的だ。 【写真】西武と東武の個性派は共通点たっぷり
池袋線・西武秩父線の全ての特急に運用されているラビューと、両線からは引退して新宿線に残る前世代の「ニューレッドアロー(NRA)」10000系の新旧特急用車両を乗り比べると、外観にとどまらない「大違い」の点があった。 6月1日、池袋線の池袋駅(東京)から西武秩父(埼玉県秩父市)行き特急「ちちぶ」に乗り込んだ際、一風変わった行き先の特急券を持っていた。通常ならば止まらない「高麗(こま)」(埼玉県日高市)だ。 この日は西武の車両を検査・修繕している武蔵丘車両研修場(日高市)が公開され、最寄り駅の高麗に一部の「ちちぶ」が臨時停車した。池袋からの特急料金は大人600円と、特急では1駅手前の飯能(埼玉県飯能市)と同じだった。 車内には、丸みのある黄色い生地が基調のクロスシート座席が通路を挟んで左右2列ずつ並んでいる。西武の通勤用電車はかつて黄色の塗装が主流で、デザインを監修した建築家の妹島和世さんが「西武線と言えばこの色」と採用した。
予約した窓際の座席に腰かけて驚いたのは、茶色の座面がソファのように沈み込むことだ。可動式のヘッドレストを頭部のちょうど良い位置に動かすことができ、体を包み込むような快適な座り心地だった。 大違いだったのは、5月に親族の墓参りの帰りに所沢(埼玉県所沢市)から西武新宿(東京)まで乗った新宿線特急「小江戸」のNRAの座席だ。紺色の生地の座席は見た目より堅く感じられ、頭部も白いヘッドカバーの生地を取り付けているだけだった。 車内で放送される自動アナウンスも異なる。ラビューは始発の池袋駅でチャイムが流れ、「本日も西武鉄道をご利用いただきまして、ありがとうございます」の声が響く。NRAは違う音色のチャイムで、社名は読み上げない。ラビューは西武が「フラッグシップトレイン(旗艦列車)」と位置付けているため、「西武鉄道」の社名を強調したいのかもしれない。 ラビューの日本語の車内アナウンスを担当しているフリーアナウンサーの久野知美さんは鉄道好きで知られ、私が審査員を務めている日本一の鉄道旅行を決める賞「鉄旅オブザイヤー」の授賞式の司会でもおなじみだ。乗車後に神奈川県箱根町でのイベントでお目にかかった際、久野さんに「ラビューは楽しい電車なので、アナウンスも高めの声にしています」と教えていただいた。