主要中銀、トランプ米政権誕生前に警戒強める 先行きに慎重姿勢
Dan Burns Howard Schneider [ワシントン 19日 ロイター] - トランプ次期米大統領の就任を2025年1月に控える中、足元で相次いで開かれた主要中央銀行の金融政策判断などへの影響が鮮明になっている。米連邦準備理事会(FRB)が来年の利下げ想定回数を減らしたほか、他の主要中銀も金利見通しに関して慎重な姿勢を示した。 FRBは18日、予想通りに利下げを決定したものの、パウエル議長はトランプ氏が計画している関税や減税、移民規制強化の影響を政策判断に取り込んでいる出席者がいると明らかにした。 パウエル氏の追加利下げを巡る慎重な発言を受けて、米国株は下落。市場では25年に想定するFRBの利下げ回数は1回にまで減少した。 19日に金利据え置きを決めたイングランド銀行(英中銀)は、利下げは段階的なアプローチを続ける必要があるとした。ベイリー総裁は「経済の不確実性が高まっており、来年いつ、どの程度利下げするかは確約できない」と述べた。 金利を据え置いた日銀の植田和男総裁は記者会見で「米次期政権の政策を巡っては不確実性があり、その影響をより慎重に精査する必要がある」と述べ、トランプ氏の通商・財政政策は世界経済や金融市場に大きな影響を及ぼし得るとも指摘した。先週ロイターが発表した日本企業を対象とした調査では、4分の3近くの企業がトランプ氏は事業環境に悪影響を及ぼすと予想した。 ノルウェー中銀は16年ぶりの高水準にある政策金利の据え置きを決め、米中間の貿易戦争のリスクが会合で議論されたことを明かした。スウェーデン中銀は利下げを決定したものの、25年初の利下げにはより慎重になる理由があると指摘した。 先週利下げを決定した欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、さらなる利下げ対応については明言を避けた。その上で、トランプ政権下での米国との貿易摩擦の可能性など、成長の下振れリスクを指摘した。