発見されにくい「女児のADHD」 固定観念にとらわれた“女の子らしく”が見過ごしの要因に? 【医師監修】
最近よく目にする「大人女性のADHD」という言葉。以前は男性に多いと考えられてきたADHD(注意欠如・多動性障害)だが、女性はただ単に見過ごされてきただけではないかという見方も出てきているという。しかし、二次障害を防ぐには早期発見が大事だと話す医師も。なぜ未就学女児のADHDは選定しづらいのか、そして発見するためのサインはないのか。児童精神科医の大和行男先生に聞いた。 【画像】「まわりの目を一番気にしていたのはわたし…」5歳息子の性別違和、ありのままを投稿した母
■「女の子らしく」を是とする日本、女児のADHD診断を恥ずかしいと思う親が多い?
子どものADHDの3大兆候は「多動性・衝動性・不注意」。この3つのうち、大人は「多動性・衝動性」がほぼ消え、「不注意」の問題だけが残ることがある。大人と子どものADHDの特徴の大きな違いはここにある。 「脳の成長によって多動性・衝動性が緩和される面と、社会人になっていろいろな世代の方と関わる、顧客対応や仕事内容が変わるといった環境因子も、不注意とされる症状が大人のADHDの中核であることに寄与していると考えられます」(児童精神科医・大和行男先生/以下同) ADHDの最初期に挙げられる「多動性のために席に座っていられない」「衝動性のために言葉よりも先に手を出してしまう」などの特徴は、未就学児(保育園や幼稚園の高学年)から、小学校入学後の男児に多く見られるため、早期発見という点でも「ADHDは男性に多い」と考えられてきた。大和先生も「日本では男の子は男らしく、女の子は女らしくという概念が強いので、女の子だとあまり受診させたくない空気があるかもしれません」と語る。 症状として、多動性や衝動性、不注意といった印象が世間一般に少なからずあり、“女の子らしい”というイメージからかけ離れてしまうことで、世間体などに対する恥ずかしさから受診のタイミングを逃してしまう、ということもあるのかもしれない。 我が子がADHDかもしれないと疑い、クリニックを受診するようになるきっかけは、男児の場合は「じっとしていられない」「ほかの子をケガさせた」など、教員から親に連絡が来たことが契機となるケースが多いという。 「女児の場合も『集中力が続かずに離席してしまう』という主訴での受診が多いのですが、こちらは親自身が困って受診している印象です」