四季報マスターが『四季報新春号』から見つけ出した"昇り龍"銘柄30選!
■アメリカで起こるカニカマ旋風 渡部 今までの話は海外から流入するお金に目を向けた内容でしたが、海外に打って出てお金を引き込む流れにも注目しています。今号の四季報は見出しにもコメントにも「米国市場」とか「海外強化」といったワードが多かった。国内市場の縮小が続く中、【米国進出】の意欲が再び高まっている印象です。 山本 海外進出は、発表しただけでまだ業績に影響がない段階でも株価が反応することもある。注目して損はないですね。 渡部 ええ。そういう意味では、小規模な進出でも問題はない。例えば、「久世福商店」を展開する和食材の製造小売業・サンクゼールは、米国で農場と果実加工場を買収しました。売り上げ規模はまだ小さいでしょうが、役員を派遣して本腰を入れるようですし期待できると思います。 山本 食品だと、世界で大人気のカニカマでも日本企業の逆襲が始まってますね。 渡部 はい。日本発祥で、日本製の品質は高いと思うんですが、一時、海外メーカーが世界シェア上位を占めていました。今号では極洋(きょくよう)と一正蒲鉾(いちまさかまぼこ)が北米でカニカマの製造・販売に注力するとあった。日本品質なら十分勝機があるとみます。 山本 思惑だけで株価が上がるといえば、従来は【防衛関連】銘柄が筆頭格でしたよね。 渡部 北朝鮮がミサイルを撃ってきたら、三菱重工業の株価が一瞬上がるみたいな。 山本 そう。でも、最近は実態を伴うようになってきましたね。2023年度から5年間の防衛費が従来比1.5倍の43兆円に積み増しされたのが大きい。防衛関連各社の受注残高は下請けに至るまで過去最高水準に積み上がっています。 武器の輸出規制が緩和されたという追い風もあるし、防衛関連銘柄は今後盛り上がりそう。例えばソナーが得意な古野電気、船舶向けの塗料に強い中国塗料など、マイナーな関連銘柄にも資金が回ってくるかもしれません。 渡部 ステラ ケミファなど、軍事転用可能な技術を持つ企業にも注目したいですね。米中分断などで経済安全保障の重要性が高まる中、政府による産業保護的な政策が打ち出される可能性もありますので。