念願かなって大企業に内定!30年働けば満足いく退職金がもらえるでしょうか?
大企業に就職すると、規模の小さな企業で働くよりも多くの収入を得られるのが一般的です。また、退職金も多くなる傾向にあります。大企業で30年間働けば、老後も安心できる程度の退職金がもらえると考え、安心感を抱く人も少なくありません。しかし実際に大企業で働き続けると、どの程度の退職金が受け取れるのでしょうか。
大企業の退職金額の相場
中央労働委員会による「賃金事情等総合調査」を確認すると、大企業の退職金の額を知ることができます。この調査の対象となっているのは、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業です。中小企業基本法では、資本金などが3億円以下または従業数員300人以下を中小企業と定めているので、この調査は大企業を対象としたものと考えて問題ないでしょう。 令和3年の同調査結果によると、職種が「事務・技術(総合職)」で勤続30年の人のモデル退職金額は、大卒者で1915万4000円となっています。高卒者は、1367万9000円です。 ちなみに、勤続35年となると、大卒者は2364万9000円、高卒者は1669万4000円となります。学歴や勤続年数により差はあるものの、4年制の大学を卒業しすぐに就職した大企業で30年以上働けば、2000万円前後の退職金が受け取れるとみてよいでしょう。
老後に必要な生活費の相場
つづいて、老後の生活にどの程度のお金がかかるのかをみてみます。総務省統計局の「家計調査」の結果によると、世帯主が65~69歳の2人以上の世帯における1ヶ月あたりの平均消費支出額は、約28万9000円です。それ以降は徐々に減っていきますが、85歳以上でも毎月の消費支出額は平均で20万円を超えています。 一方で、日本年金機構によると、令和5年度における夫婦2人分の標準的な年金額は、月額22万円ほどとなっています。あくまでも参考程度とはなりますが、80歳ほどの年齢になってやっと生活費と年金額が釣り合う計算です。 仮に1ヶ月あたりの消費支出額を25万円とし、かつ標準的な年金額を受け取れるとした場合、毎月3万円ほど足りない計算となります。年間では36万円、65~85歳までの20年間では720万円です。人生100年時代といわれており、上記の年金額も40年間働いた場合の額であるため、世帯によっては不足分が1000万円を超える可能性は十分にあるでしょう。 毎月の生活費が数万円程度多くなるだけでも、20年間ではさらに数百万円から1000万円以上のお金が必要となります。ある程度ゆとりのある生活を望むのであれば、やはり2000万円前後足りなくなるケースを想定しておかなければいけません。