トランプ氏、グリーンランドめぐり軍事力行使を否定せず 独首相「理解に苦しむ」
トランプ次期大統領の過激な発言が止まりません。メキシコ湾をアメリカ湾と呼ぶと言い放ったこと、グリーンランドの獲得に軍事力行使を否定しないことなどで波紋が広がっています。 【画像】デンマーク王室が半世紀ぶりに紋章変更 グリーンランドを象徴するホッキョクグマを大きく
■グリーンランドを軍事力で?
トランプ次期大統領 「メキシコ湾をアメリカ湾に変える。アメリカ湾。なんて美しい名前だ」 不法移民問題で対立するメキシコをこう批判したトランプ氏。これに対し、メキシコのシェインバウム大統領も猛反論しました。 シェインバウム大統領 「北米大陸全体をメキシカン・アメリカと呼ぶのはどうですか?素晴らしい響きじゃないですか」 トランプ次期大統領 「国家安全保障のためにグリーンランドは必要だ。デンマークに法的権利があるとしても、アメリカの国家安全保障のために必要なので、諦めるべきだ」 グリーンランドはカナダの北側、北極海と大西洋に囲まれ、面積は217万平方キロメートル。北海道26個分です。レアアースなど地下資源が豊富な場所としても知られています。 大西洋を挟んでロシアにも隣接し、アメリカ宇宙軍の基地が置かれる要衝です。中国は「氷上のシルクロード」と銘打って北極海を経由する航路の経済開発を続けています。 トランプ氏は次のように述べました。 記者 「グリーンランドの獲得に向け軍事的・経済的威圧をしないと確約できますか?」 トランプ次期大統領 「できない。中国船もロシア船も、うじゃうじゃいるが、今後そうはさせない」 軍事的・経済的な行使を否定しない発言について、EUの主要国ドイツのショルツ首相は次のように述べました。 ショルツ首相 「ヨーロッパ各国と話したが、最近のアメリカの発言は理解に苦しみます。国境の不可侵の原則はすべての国に適用されます」 アメリカのブリンケン国務長官も火消しに追われました。 ブリンケン国務長官 「グリーンランドに関する考えは明らかに良いものではない。しかし、重要なのは、それは明らかに実現しないということです」 現職の国務長官が次期大統領に苦言を呈す異例の事態です。専門家は次のように指摘します。 上智大学 前嶋和弘教授 「グリーンランドが中国のものになってしまうっていう危険があって、アメリカにとってみれば中国が戦略的に重要なこの場所を一つひとつ取り侵食している」