63歳元公務員「自慢のわが家だ」→大後悔…現金購入のタワマンで“感動の暮らし”が一転、わずか3ヵ月で“憂鬱な毎日”となったワケ【マンショントレンド評論家が解説】
「なんだこのニオイは!?」部屋から突然悪臭が…なぜ?
さらに最近になって、部屋でドブや吐しゃ物のような悪臭がするようになった。特に風呂場や、洗濯機置き場がひどく、臭すぎて寝られない時もある。管理会社に聞いたところ、いま理事会で初めての雑排水管清掃について検討中だという。 一般的に築2年を超えたあたりから、定期的に雑排水管清掃を実施するそうだが、せっかく管理組合で実施することになっても不在などで清掃を受けていない部屋や、人が一定期間住んでいない部屋では排水溝から逆流し、臭いがするそうだ。 またこのタワマンは、ホテルのような内廊下の構造のため、一定の換気をしていても、臭いがこもってしまうことも原因のひとつだという。それに内廊下は高級感があり素敵だと思っていたが、絨毯は水洗いの掃除がしづらくホコリや臭いのもとになってしまうケースもあるという。 しかも物件選びの条件にしていた、エレベーターの待ち時間でイライラすることもある。朝の5分は当たり前、ひどい時は10分近く待たなければならないこともある。もし川崎・武蔵小杉のタワマンのようにエレベーターが止まったら(2019年10月の台風による浸水被害で長期間電源が止まった影響)、階段で昇り降りできる自信はなく、いまさらながら高層階にしたことを後悔している。 その他にも、1階にある宅配ボックスから重い荷物を部屋まで運ぶ時、非接触キーをいたるところでかざすのがとても大変である。それに、強風が吹いたり地震があったりすると「長周期地震動」によって大きく揺れ、智子さんのほうがひどいのだが、乗り物酔いのような症状になる。しかも頑丈で壁が厚いと思っていたのに、子供の泣き声、水が流れる音、ドアの開閉音など生活音が気になることもある。
修さんがいまもっとも気にしている、物件の“心配ごと”
築2年で3割が「売れ残り」という恐怖 不満をあげたらきりがないが、いまいちばん修さんが気になっているのが、築2年にもかかわらず、いまだに3割ほどが売れ残っていることだ。利便性や豪華な共用施設は素晴らしいが、エリア的には割高であったことが要因のようだ。 しかも1年を過ぎた頃から、販売価格が見直しされ、なかには個々で値引きされるケースもあり、販売価格を下げたことに対する不満が内在している。 現在、売れ残っている住戸の管理費等は、デベロッパーが一括で支払っているが、この状態がいつまで続くのかという不安もぬぐい切れない。それにタワマンにしては規模が小さいことが影響して、他のタワマンと比較すると毎月の管理費等も高いようだ。 住み始めた頃はタワマンにして良かったなと心底思っていたが、このまま終の棲家として住み続けられるのか、日に日に不安は大きくなるばかりだ。理想と現実とのギャップとはまさにこのことを言うのであろう。 子供たちや孫は自慢のタワマン住まいができて良かったねと、とても喜んでくれているが、早くもタワマンにしたことを後悔して憂鬱な毎日を送っている。 日下部 理絵 マンショントレンド評論家 オフィス・日下部 代表