富士山が隠れる…東京・国立市のマンションが異例の解体へ 元市議「背景も含めて考えなければいけない問題」 開発と景観の折り合いは
弁護士の関口郷思氏は「法令違反などが全くないにも関わらず、かつ完成後に解体するという判断をしたのは極めて異例なことだ」とした上で、「富士見通りに面している部分は近隣商業地域で、高さ制限がない状態。その裏側は第一種低層住居専用地域となり、2階建て住居専用の住宅街とされている。元々、マンションが建つ度に問題が提起されていたようなので、もっと前の段階で地区計画を定めるとか、行政側で規制を新たに設けるなどの必要があったのではないか」と述べる。 石塚氏は「国立市は(都市計画)マスタープランという基本的な考え方、コンセプトがある。市の面積は8.15平方キロメートルで、多摩地域の中では狛江市の次に小さい。国立市で文教地区の指定を受けているところにはお金になるような工場や大型店舗などはなく、財源的にも乏しい街だ。おじいちゃんおばあちゃんの時代から街並みがよくて住んだ方が多く、やはり“国立ブランド”というのが出てくる。今回の揉めたのも、要するに高さの問題。私が現職の時、“高さ条例をつくれ”と何度も言ってきたが、市はやらなかった。そのつけがもろに来てしまった」と指摘した。 国土交通省は2005年に「関東の富士見百景」を選定しているが、青葉台地区(目黒区)、東京都立武蔵国分寺公園、富士見テラス(東久留米市)、日暮里富士見坂の4カ所で「現在は富士山が見えない」としている。
SNSでは、「マンション業者は国立を敬遠するようになるので、衰退への道の扉を開けたのかもしれない」と懸念する声もあがる。作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「今回の問題がどれだけ他の地域に波及するのか。“景観を理由に高い建物を建てるのはやめましょう”という流れが出てくる可能性はある」とする。 NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「日常における市民による政策的なアプローチが非常に乏しい。“もっとマンションを建てて若い人を呼ばなきゃダメだ”と思っている方もいるだろうし、“絶対に景色を守りたい”という方もいるだろう。こういうことが起こってから、議員と一緒になって陳情したりするのではなく、日頃からのアプローチがあっていいと思う」との考えを述べた。(『ABEMA Prime』より)