再エネ「タスクフォース廃止」だけでいいのか 提出資料に中国ロゴ、林官房長官が河野大臣に注意も…残る「外国勢力や利権の『抜け穴』」
再生可能エネルギーの規制見直しに関する内閣府のタスクフォース(特別作業班)に関し、林芳正官房長官は「懇談会等の運営に関する政府の指針に照らして不適切な点があった」として、河野太郎規制改革担当を注意した。河野氏は「一定の成果を挙げた」としてタスクフォースの廃止を表明したが、専門家は「廃止だけで済まされる問題ではない」と指摘する。 【画像】経産省のヒアリングに提出された資料。右上に中国企業のロゴが薄くみえる ■提出資料に中国ロゴ タスクフォースをめぐっては、元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国の国営電力会社のロゴが入っていたことが問題視された。内閣府が公表した調査報告書では、ロゴを「事務的な誤り」と認定するとともに、大林氏が所属する「自然エネルギー財団」への中国の影響力行使も確認されなかったとした。 一方で報告書では、タスクフォースは「行政運営上の意見交換、懇談等の場」であるにもかかわらず、「構成員が具体的な規制・制度上の論点を挙げて、各省庁に対し政策対応を求めるなど、同指針の趣旨に必ずしも沿わず規制改革推進会議と同様の運営を行ってきた」と指摘した。 ■河野氏「一定の成果」 河野氏は4日の記者会見で「タスクフォースは議論の内容そのものに問題はなかったが、一定の成果を挙げたこともあり廃止する」と表明した。 今後、再エネの規制緩和は首相の諮問機関である規制改革推進会議で議論していくとの考えを示した。 ■常に監視する体制必要 経済安全保障アナリストの平井宏治氏は「廃止は、タスクフォースの危険性を認識したということだろう。財団側に対する中国の影響力は否定しているが、会議が指針よりも強大な権限を有し、外国勢力や国内の利権の『抜け穴』になりかねない面があったのは問題だ。廃止で済ませるだけでなく、こうした抜け穴がないか、常に監視する体制も必要だ」と話す。 前出の報告書では、タスクフォースの人選について、5月に成立したセキュリティー・クリアランス(適格性評価)制度を創設する重要経済安保情報保護・活用法案の審議のなかで「政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことがないよう留意する旨の附帯決議がなされている」と記載した。会議の趣旨や有識者の選定理由などについて大臣等が適切に説明できるようにすることが重要だとも念押ししている。 ■次期総裁選にも影響か
前出の平井氏は「中国の脅威に対する世論の警戒感は強い。さらに電気代が高騰する背景として、再エネ賦課金への批判もある。所管大臣だった河野氏は自民党の次期総裁選にも影が差した形ではないか」と語った。