米国1月CPIの上振れで円安が進む:防衛ラインは152円前後か:揺らぐ米国経済ソフトランディング期待:円安に連動した株高の裏側で個人の生活は逆風に
米国1月CPIは予想を上回る
米国労働省が2月13日に発表した1月分CPI統計で、総合CPIは前月比+0.3%、コアCPI(除く食料・エネルギー)は前月比+0.4%と、それぞれ事前予想を+0.1%ポイント程度上回った。コアCPIの前月比上昇率は、8か月ぶりの水準となった。 コア財CPI(除く食料・エネルギー)は前月比-0.3%と、前月の同-0.1%から下落幅を拡大させた。中古車価格は1969年以来の下落幅となった。他方でコアサービスCPI(除くエネルギー)が、前月比+0.7%と前月の同+0.4%から大きく上昇幅を拡大させたことが、CPI全体を予想以上に押し上げた。 住居費は前月比+0.6%とほぼ1年ぶりの上昇率となった。それ以外に、自動車保険、医療費の上昇も目立ち、外来医療費とペットサービスは、1月としては過去最大の上昇率を記録した。 1月分からCPI統計では品目毎のウエイトが改訂され、サービス価格のウエイトが高まったことが、予想を上回るサービス価格の上昇の一因となった。ただし、サービス価格に先行する傾向が強い財の価格は下落状態が続いており、物価上昇率の低下傾向には変化はないと考えられる。
1ドル151円台直前までドル高円安が進む
しかし、金融市場の反応は思いのほか大きかった。CPIの上振れを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測が後ずれしたためだ。昨年末時点では金融市場は3月の利下げをかなり高い確率で織り込んでいた。その後、予想外に強かった1月分雇用統計を受けて、利下げ時期の見通しは5月へと移った(コラム「1月米雇用統計は予想外の上振れ:FRBの早期利下げ観測は一段と後退」、2024年2月5日)。そして今回の1月分CPIの上振れを受け、金融市場の利下げ見通しの中心は6月まで後ずれした感がある。 FRBによる利下げ時期の後ずれは、長期金利を押し上げるとともに、13日の米国株式を大きく下落させた。さらに、為替市場ではドル高円安の動きが強まり、ドル円レートは1ドル151円台直前までドル高円安が進んだ。日経平均株価は、前日には一時1,000円程度の急騰を見せたが、米国株価の下落と円高進行の2つの逆風を受けて、14日は大幅に下落している。