退職金に「税金」がかかるようになるって本当ですか?退職金が「2500万円」のケースで税金を計算
退職金は、定年後にゆとりある生活を送るために欠かせないお金です。 今回は、退職金において、具体的な金額を基に、引かれるお金をシミュレーションします。
退職金の種類
一口に退職金といっても、さまざまな受け取り方があります。退職金の支払われ方は、定年時にまとめて受け取れる「一時金形式」と、分割して支払われる「年金形式」があります。今回は、一時的にまとめて受け取る一時金形式にかかる税金を紹介します。
退職金に係る用語を解説
退職金の計算前に、関連する用語や税金を整理しましょう。 ◆所得税 所得税とは、企業から支払われている給与にかかる税金で、国税の一種です。1月1日から12月31日までの収入において、一定額の所得控除を差し引いた金額に、規定の税率をかけて算出します。 退職金の場合は、分離課税方式を採用し、ほかの所得と切り離して計算を行います。具体的な税率と控除額は、下記の表1のとおりです。
※表は参考リンクを基に筆者が作成 ◆復興特別所得税 復興特別所得税とは、2011年に発生した「東日本大震災」の復興財源を補てんするために、2037年まで、所得税の2.1%の税金がかかります。該当する年度までに退職する場合は、復興特別控除税の計算も必要です。 ◆住民税 住民税には、市区町村に納める税金と都道府県に納める税金があり、地方税に該当します。住民税は、毎年1月1日時点で住所を置いている地域に納めますが、前年度の所得に応じて負担する利率が変わる「所得割」と、定額の納税である「均等割」があります。 退職金には、上記の税金に合わせて、所得控除の制度が設けられています。20年を超える勤続年数と、20年以下の勤続年数では控除額が異なります。具体的な金額や計算方法は下記のとおりです。
※表は参考リンクを基に筆者が作成 勤続年数が長いと、優遇される傾向にあります。
退職金が2500万円のケースで税金を計算する
ここでは、具体的な金額を基に、退職金にかかる税金を計算します。今回は、下記の条件で算出します。 ・勤続年数30年 ・退職金が2500万円 ・一時金形式で受け取る 上記の場合、退職金控除は 800万円+70万円×(30-20)年=1500万円です。 課税退職所得金額は、2500万円から退職金控除の1500万円を引いたうちの半分である、500万円です。所得税率は(表1)で記載した「20%」に該当するため、「500万円×20%-42万7500円=57万2500円」と、所得税額が算出できます。 なお、復興特別控除税が発生する期間の場合はさらに計算が必要で、具体的には下記のとおりです。 57万2500円+(57万2500円×2.1%)≒58万4522円