「Apple Watch」日本の医療現場でも活用が進む、ヘルスケア担当役員が語る「今後起きる進化」
デサイ氏は、これらの研究を通じて、医療の現場そのものを再発明することなく、ユーザーが自分の健康についてより良く理解し、手元の情報を用いて検診や事前診療が行えるようになる未来を描いていた。 ■日本の医療現場でも活用が進む テレビでも「Apple Watch外来」という特集を聞いたことがある方もいるかもしれない。Apple Watchに搭載されている心電図センサー用いて日常的にデータを取り、これを使って実際の診察に役立てる取り組みが広がっている。
例えば、千葉県にある幕張不整脈クリニック院長の濵義之医師を取材すると、ユーザーがいつでも心電図を取ることができるApple Watchのデータは重宝すべきものだと指摘した。 「発作が起こったタイミングの心電図が取れることは、とても大切です。その瞬間のデータは、病院に来てからの検査では得られないからです。特に発作の頻度が少ない段階での心電図のデータが取れる点は、早期発見から治療へとつなげていくうえで、非常に重要です。
Apple Watchで測定した心電図のデータは、医師が見ればすぐに、どんな症状が起きているかがわかるほど明瞭なものです。また心房細動のアラートは、本人に自覚や症状がなくても早期発見ができるため、素早く治療に入ることができ、それだけリスクを軽減できます」(濵氏) デサイ氏はApple Watchを通じて、医療と健康とのつきあい方を変えようとしてきた。そうした実例が、日本を含む世界中の医療現場で現れてきているのだ。
Apple Watchでの臨床的な研究は、アメリカだけでなく、日本でも東京大学や慶應義塾大学で行われている。デサイ氏はこうした科学的な証明を伴いながら、科学界、ユーザー、そしてアップル自身も、Apple Watchで取得できる健康に関する知見を、現在進行形で学んでいるところだと言う。 「まだまだ、学ぶべきことはたくさんあります。それを理解するための研究を続けている途中なのです。 科学に基づいた、健康に関する正確な情報を伝えるにはどうすればいいか、顧客の声に耳を傾けてきました。これを、アップルを含めた第三者がのぞき見ることなく、プライバシーを強く保護しながら実現していくことで、健康に関する発見ができたり、人々が何かを理解できるようになります。