傷つけあった時間は戻らない――セックスレス彼氏が下す「冷徹な審判」〈「さよならプロポーズ」第7話〉
時間は戻らない。犯した過ちを受け入れてもらえるのか
先週から引き続き、モナに複雑な感情が渦巻いていることが伝わる。ギリシャの土地で幸せを感じるほど、今までの日常とのギャップや、これからの不安定な未来に不安を募らせているようだ。 不安定さを垣間見せるモナに、アオイはポジティブに「話し合いたい時はまたこうして時間を作ればいい」と諭す。この時点でモナは「アオイが求める自分に変わっていくこと」を見据えており、これから先もアオイと一緒にいたいと思っていることが分かる。 モナが涙を堪えながらアオイに伝えた「(もし別れる道を選んでも)モナは大丈夫だよ」という言葉には、MC陣からも「よく言った」と称賛の声が上がった。 モナの気持ちは「別れたくない」で固まっているけれど、その弱さをアオイの前で見せまいとする姿がいじらしい。いざ自分ができるかと言われれば話は別なのだが、どんなに別れたくなくても、すがらずに美しい姿を見せるべきだ、と客観的に示してくれた名シーンだった。 おにぎりを握るモナの「これが、私にできる最後のことだから」という言葉は、途中で嗚咽と混ざって最後まで聞こえなかった。 最終日を前にして、モナの愛が爆発している。帰宅したアオイを愛おしそうに撫で、名前を呼ばれれば、うれしそうに振り返る。好きな人のためにおにぎりを握ること。着る服を考えること。それもきっと、愛だ。 日常生活の中では見つからなかった愛に気づいただけでも、アオイとモナにとっては大きな成長だ。モナは「結婚できない理由が自分にあるなら直す」とはっきり伝えた。だからこそ、2人にとっては今が一番ツラいタイミングとも言えるかもしれない。 問題を顕在化できたからこそ、2人は今究極の選択を迫られている。たとえ別れない道を選んでも、相手にまたつらい顔をさせてしまうかもしれない。感情が爆発しそうになった時にハグを求めるモナは、ある意味旅の序盤から変わらない。愛を求めるのは、モナの根本的な価値観だからだ。 アオイの作った食事は、何度食卓で冷え切ったのだろう。時間は戻らないし、過ちも消えない……そう伝えるアオイの表情は、冷静だった。これから、アオイはモナに「本気の成長」を見出すことができるのだろうか。 ■愛を信じた女性陣、解決を見据える男性陣 愛とはなんなのか。ギリシャに来て命題と向き合った恋人たちだが、先に答えを出したのは女性陣だ。問題が顕在化しても、悪い部分が見えてもまだ好きだと思えたのなら、それが彼女たちにとっての愛なのだろう。 しかし、男性陣はどうだろうか。問題は問題として捉え、相手への愛の大きさとは分けて考えているようにも見える。合理的思考で判断するなら、問題の解決方法が見つからない以上、未来に希望は見出せないのかもしれない。 最後はお互いを「受け入れられるかどうか」だ。女性陣はきっと、受け入れることを決めた。だがアオイとシュウヘイは、モナとカホを受け入れることができるだろうか。 次回予告では、男性たちから不穏な言葉が飛び出した。まさかの「モナもカホも振られる」展開にならないといいのだが――。 (文・ミクニシオリ)