大坂なおみ、世界女王からの歴史的な大金星を惜しくも逃す…マッチポイントを握りながら逆転負け
◆テニス ▽全仏オープン 第4日(29日、パリ・ローランギャロス) 【パリ29日=吉松忠弘】4大大会4度の優勝を誇り、元世界ランキング1位の大坂なおみ=フリー=が、マッチポイントを握りながら、惜しくも敗れた。苦手だった粘りと信じられないショットを連発し、同1位で大会3連覇を狙ったイガ・シフィオンテク=ポーランド=に、最終セット5-3で、1度はマッチポイントを握った。しかし、勝ちを意識したのか、自分のサービスゲームを失い、そこから4ゲーム連取され、6-7、6-1、5-7で敗れた。勝っていれば、日本女子が4大大会で世界1位に勝つのは初めての快挙だった。惜敗にも、大坂は「本当に楽しかった。前向きな要素がいっぱい見つかった」と、最後まで笑顔で前向きだった。 両者への声援や怒号や悲鳴が入り交じり、赤土の聖地、センターコートでは、1ポイントごとに騒然とした空気があふれた。加えて、豪雨が屋根に打ち付ける音で、打球音が全く聞こえない異常な空間で、新旧女王対決は壮絶な打ち合いとなった。 大坂は緩急をうまく使い、どんな球でも追いかけた。何とか拾えて、相手にチャンスの球が返球されても、追うことをあきらめなかった。それに、4大大会優勝をしたときのような神がかりなショットも復活した。ストレート、鋭角なクロスが赤土を切り裂いた。 マッチポイントを握っての敗戦に、試合後、涙があふれた。しかし、「最悪じゃない。昨年の今頃は妊娠中だったことを思えば、よくやっているんじゃない」と、気持ちを切り替えた。「またトップ5に戻れる日がやってくる。そう信じている」。そして、赤土への今年の挑戦が終わったこの日、自分のノートに「誇りに思うよ」と書いた。
報知新聞社