女性の一生は波乗りの連続 東大大学院産婦人科の大須賀教授が田辺で講演
和歌山県田辺市新庄町の紀南病院でこのほど、東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座の大須賀穣教授による講演会があった。「女性の一生は波乗りの連続」だと話し、月経や妊娠・出産、更年期など女性が抱えるさまざまな健康課題について解説した。 【「地元で安心して出産を」 紀南病院、東大から産科医2人派遣で6人体制に・和歌山の記事はこちら】 大須賀教授は東大医学部付属病院副院長、日本産科婦人科学会副理事長なども務める。 講演では「女性は常にホルモン変動の波にさらされている」と説明。ある調査では、女性従業員の約5割が「女性特有の健康課題などにより職場で困った経験がある」と回答し、その多くが月経痛や月経前症候群(PMS)によるものだった。一方で、管理者側は「対処に困った経験のある女性従業員の健康課題」としてメンタルヘルスを挙げた人が多かったとし、女性従業員との認識のギャップがあると述べた。 50歳ごろになると閉経し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に低下。さまざまな心身の不調が現れる「更年期障害」に悩まされる。働く更年期女性の健康意識調査では、「更年期の不調で仕事を辞めたいと思ったことがある」と答えた人が60%、「職場に相談できる態勢(雰囲気)はなかった」が46%に上ったという。 健診や啓発、受診しやすい環境づくりなど、女性の健康を支援することの大切さを呼びかけ、「全ての女性を健康に」と締めくくった。 紀南病院は本年度から、大須賀教授の協力で、東大の産婦人科専門研修連携施設として専門医と専攻医の派遣を受け入れている。 講演会は、紀南病院の医師や看護師らスタッフ、保健・福祉の行政関係者など約100人が聴講した。
紀伊民報