中日の井上一樹監督が誕生すれば“禁断”の矢野元阪神監督のヘッドコーチ招聘があるのか?
ただ阪神の元監督が他球団のコーチを務めたケースはそう多くない。古くは石本秀一氏が西鉄で投手コーチ、中日でヘッド、中西太氏がヤクルト、近鉄、巨人、オリックスなどでコーチを歴任、安藤統男氏がヤクルトの関根潤三監督に誘われて1987年から3年間、作戦コーチを務めた例があるがそれ以降、35年間封印されたままだ。まして同一リーグで相対するとなるとまさに“禁断の人事”ということになる。それは阪神の監督がいかに特別かを示すデータでもあり、関係者によると現実問題として矢野氏の中日のヘッドコーチ招聘は難しいという。 すでに球界内ではまことしやかに「矢野氏の中日のヘッドコーチは消えた」との怪情報も駆け巡り、阪神の次期監督として決定的な藤川球児氏にコーチ経験がないため、「中日の話がなくなったのは、矢野氏が阪神のヘッドコーチに就任するからではないか?」との新たな怪情報が流れているほど。これもあり得ない人事ではあるが、オフのストーブリーグ情報は、ある意味、なんでもありだ。 いずれにしろコーチ人事は、井上氏の監督就任が正式に決定してからの話だが、もし矢野氏の招聘が難しい場合は、ヘッドは中日OBや内部調整を軸とした人選となるだろう。 井上氏は、今季2軍監督として昨季最下位だったチームを優勝争いさせた手腕が評価されている。性格が明るく、選手をその気にさせるモチベータータイプの指導者だ。立浪監督とは対照的な指導スタイルに期待が寄せられるが、コーチングスタッフの陣容が重要になってくる。広島では、同じくモチベータータイプの新井貴浩監督をヘッドコーチである元阪神の藤井彰人氏ら、野球理論や戦術、戦略に長けたコーチングスタッフが支えて成功している。 コーチ人事は球団フロントとの共同作業となるが、井上氏は3年連続最下位のチームを立て直すためにどんな組閣を組むのだろうか。