40代以降が適齢期。住まいから自分の将来を考える〈ともさかりえ×行正り香対談〉vol.4
私たちのこれから。終の住処と老後のビジョン
ともさか 私ね、夫が外国が好きで、旅行もすごく好きだから、出会ってからいろんなところに行くようになったの。以前は飛行機が嫌いだったんだけど、今は外国に住んでもいいかなってぐらい柔軟に考えるようにもなった。「絶対こうでなきゃ」と自分で枠を作らなくても、可能性はまだまだいっぱいあるって、最近やっと思えるようになったんです。 行正 人生の変わりどきを迎えたのかもしれないですね。私は今まで前に向かって、新しいものをどんどん作って……というふうに生きてきたんだけど、そろそろ振り返る時間を作っていきたいと思うようになりました。 ともさか そこは逆なんだなぁ。り香ちゃんはここまで“好き”を追求してきて、ある程度、形にしてきた現実があるからね。 行正 広げるだけ広げてきたわね(笑)。だからこれからは、大事な人と振り返りたい。結局最後に行き着くのは、友達を作って、一緒に美味しいものを食べて、お酒を飲んで、音楽を聴いて、笑って思い出話をして……といった空間、時間の大切さ。 母、よしこさんいわく「12個の椅子がテーブルにあるなら、そこに空席ができてはいけない」と。いつも満席になるようお友達を見つけ、食とワインをもっと大事にしていきたい。そして、好きな国はもうデンマークとイタリアだってわかっているので、その2つの国にもっと行きたいです。 ともさか り香ちゃんも私も、こうして自分の仕事を続けてきて、自分で選択ができる人生を選んできたから、こんな話ができるんですよね。私はやっと「これからいろんなことができる」という選択肢を手に入れた感覚なので、スタートは遅いかもしれないけど、もう少し模索しながらいろいろ楽しみたい。ゴールはまだ決めずにおこうと思う。 行正 りえちゃんのこれから、楽しみです。あとは……、死ぬまで「心地いい家の工夫」を続けたいですね。例えば病院のベッドのまわりだって、好きな写真や思い出の絵ハガキを並べれば、自分の好きな世界にエスケープできます。お金や時間を理由に諦めるのももったいない。キャンドル1本、香りのエッセンス1つで、部屋の空気は変えられますから。 ともさか そんな小さな工夫から、想像が広がるんだよね。次はこれをプラスしよう、逆に引いてみようといった選択が生まれる。 行正 「人生を変えるリノベーション」は、小さな工夫の先に。トライ&エラーだって当然のことです。そして私のもう1つの老後の目標は……、りえちゃん家のリノベーションのお手伝い。そうしたら、遊びに行きやすい家になるでしょ(笑)。 ともさか これ以上ないほど心強い! ぜひお願いします(笑)。 ともさかりえ/俳優。東京都出身。12歳でデビュー。ドラマ「金田一少年の事件簿」シリーズ(日本テレビ)でブレイク後、映画、舞台、また歌手としてなど、活動の幅を広げる。近作は映画『四月になれば彼女は』など。放映中のドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ)にも出演。ファッションブランド「MY WEAKNESS」のディレクターとしての顔も。
行正り香/ゆきまさりか 料理家・インテリアデザイナー。デンマーク親善大使に選ばれる(2017年)など、北欧のインテリアに造詣が深く、近年はインテリアのコーディネーターやリフォームプランナーとして多数の家作りに携わる。30冊を超える料理レシピ本のほか、家作りに関する著書『行正り香のインテリア』『行正り香の家作り』もロングセラーとなっている。 構成/八幡谷真弓 撮影/嶋田礼奈 ヘアメイク(ともさかさん)/伴まどか
行正 り香