「“旅“を楽しむ感覚で観てほしい」映画『ココでのはなし』こささりょうま監督インタビュー。長編デビュー作への思いを語る
「家から出たらみんな旅人」 監督が旅で得た忘れられない言葉
―――今回お話を聞いていて、現場での雰囲気がとても皆さんとの仲が良さそうに見えました。実際にスタッフの方々と一緒にここに泊まったと仰っていましたが、撮影が終わってからも交流はあるのでしょうか? 「撮影は2021年の秋でしたが、キャストもスタッフもいまだによく会っています。みんなで1つの旅をしているような、キャラバンに乗っている感覚で、この映画の公開も迎えられるのが嬉しいです」 ―――私も本作を拝見して、キャラクターのそれぞれが独自の旅をしているように感じました。これから鑑賞する方々に向けて、本作をどのように受け取ってもらいたいですか? 「撮影当時、訪れるお客さんの多くが県外からではなく、東京都内に住んでいる方がほとんどでした。コロナ禍で県外移動や旅行が制限される中、『家にいるのも窮屈だけれど、遠出はできない』という理由で、都内でちょっとした“プチ旅行”を求めてこの場所を訪れる方が多かったんです。それを見て、“旅”というものは必ずしも大げさなものではなく、もっと気軽に楽しめるものなのではないかと感じました。 劇中でも『家から出たらみんな旅人だよ』という言葉がありますが、僕がアメリカ横断中に、あるゲストハウスで出会った女性に言われた言葉なんです。『自分は旅人なのかな?』と彼女に聞いたとき、『家から出たら、それだけでみんな旅人だよ』と言われて、すごく心に残りました。 旅というと少し仰々しく聞こえるかもしれませんが、どこかに出かけることで心がワクワクしたり、新しい発見に出会えたりする。それは自分にとって重要なメッセージであり、この作品を通して、観客の方にも伝わればいいなと思っています。 近所を散歩するだけでも、それは“旅”だし、時には立ち止まって休むことも大切だということに気づいてもらえたら嬉しいです。押し付けるつもりはありませんが、一緒に“散歩”を楽しむような感覚で、この作品を観ていただければと思います」 (取材・文:タナカシカ) 【ゲストハウスtoco.】 店名:ゲストハウスtoco. 住所:東京都台東区下谷2-13-21 バー営業:18:00-22:00 ※バーの営業は宿泊者以外の方もご利用いただけます。
タナカシカ