CO2国別削減目標、パリ協定の目標達成に程遠く 国連が指摘
David Stanway [シンガポール 28日 ロイター] - 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は28日、各国が提出済みの温暖化ガスの排出削減目標(NDC)について、パリ協定の目標達成には依然、遠く及ばないとの年次報告書を公表した。 各国が国連に提出済みのNDCでは2019─30年に世界の排出量を2.6%削減でき、昨年の2%削減から削減率が上昇したが、科学者によれば、世界の気温上昇を1.5度以内に抑えるパリ協定の目標達成には43%の削減が必要で、このペースには遠く及ばないという。 同事務局は各国が新しい強力なNDCを来年2月の期限までに提出する必要があると主張。「来年の新たなNDCで明確な道筋を描く必要がある」と述べた。 各国に野心的な目標設定を説得できるかは、来月アゼルバイジャンのバクーで開幕する第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)に左右される可能性がある。 これとは別に、世界気象機関(WMO)は28日公表した年次報告書で、昨年の大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が420ppm(ppmは100万分の1)と、前年から2.3ppm上昇し、過去最高を更新したと指摘。 過去20年では11.4%上昇しており「人類が生存している間に経験したどの時期よりも速く」CO2が大気中に蓄積しているという。 昨年のCO2濃度の上昇は、過去10年間で2番目の大きさだったが、森林火災の急増が原因だった可能性がある。昨年のカナダの山火事で放出されたCO2は、大半の先進国の年間排出量を上回った。