都内にある「横幅1.8m」の極細物件!「資材置き場」向きだった敷地に建てた、工夫だらけの“驚きの内部”
相原さんが模型を作りながら行き着いたのが、家全体をキャットタワーのようにした、高さの異なる床が浮遊する立体的な構想だった。 居場所を区切るための間仕切り壁は入れず、床の配置によって、空間をゆるやかに分ける。 キッチンにダイニング、リビング、仕事場はもちろん、階段やちょっとした段差など、建物のなかにいくつも小さな居場所を作りだした。 その床の隙間や階段の吹き抜けから光が入り、風も通り抜ける。見上げたり見下ろしたり、たたずむ場所から室内を眺めたり、居場所ごとに異なる風景も手に入る。立体的な空間で、人と猫はお互いの距離感を意識しながら過ごしていけるのだ。
さて、部屋の中に話を戻そう。 先ほども紹介したように、エントランスから階段を上がった先の仕事場には、壁に向かって机が並び、パソコンが置かれている。段差で区切られたもう1つのスペースは、ソファーが置かれ作業をしたりくつろいだりできる場所に。元は寝室として使っていたそうで、その時々で部屋の使い方も変えているという。 仕事場の奥には、吹き抜けの階段がある。らせん状の階段に立って見上げると、天窓から光が降り注ぐ。階段はスケルトンで軽やかな存在感。光を遮ることなく下まで明るさが届く。
壁面には、鉄板の造作棚があり、本や調理道具が収納され、小物が飾られている。 本を選んで階段に腰かけて読んだり、猫が段差で寝そべっていたり、人にも猫にも大切な居場所のようだ。 ■異なる床の高さで、さまざまな景色を楽しめる そのまま階段を上がって2階に着くと、キッチンダイニングの大きなステンレスカウンターを中心とした、LDKの空間が目の前に現れた。床の高さが3段階で異なり、ここでも自然とスペースが分かれている。
床の高さが異なるため、リビングから室内を眺めると、床がいくつも浮かんでいるように見える。隙間があって見通しがよく、リビングの上にあるロフトも目に入る。立体的な空間であることを実感する。 ダイニングのテーブル脇にかけられたはしごは、ロフトへ続く。上下に空間を移動できる動線の出現に驚いたが、Oさんは「はしごは普通に使っていますよ」とこともなげにスルスル上り下りしてみせた。 壁面に取り付けられた棚板はDIYによるもので、夫婦で設置。猫はキャットウォークとして行き来する。一部は食器の収納棚としても活用されている。