子どものお迎えで「残業」ができません。上司には「みんな残業してるんだから」と言われますが、どうすれば良いのでしょうか? 断るのもかなり気を遣います…
共働きかつ子どもがいるという家庭であれば、保育園や学童へのお迎えをどうするかが問題になります。それにもかかわらず、会社で上司から「みんな残業しているんだから君も残業して」などと言われると、はっきり言って困るはずです。 本記事では、そのように言われた場合どうすべきかを、法律やアンケートのデータも交えながら詳しく解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
残業を命じるには厳格な要件が必要
本来、会社が従業員に残業をさせるためには、最低限、次の3つの条件を満たしていないといけません。 1. 労働基準法第36条に基づく労使協定、いわゆる「36協定」が締結されている 2. 所定の労働基準監督署長に届け出がされている 3. 労働契約や就業規則に残業の義務が含まれている つまり、これらの3点が守られていなければ、会社から「残業をして」と言われても応じる必要はありません。まずは労働契約や就業規則、36協定の締結の有無を確認し、どれか1つにでも問題があればその点を指摘してみましょう。 ■「労働者の利益を著しく害する」とは? 裏を返せば、就業規則や労働契約に残業の義務が盛り込まれていて、36協定の締結や労働基準監督署長への届出など必要な手続きが済んでいれば、従業員に残業をさせても良いことになります。そして、従業員も残業を命じられた場合は拒否できません。 しかし、「残業をさせることが労働者の利益を著しく害する」と判断される場合はこの限りではありません。例えば、体調が悪くて仕事を続けられない状態だったり、子どもを迎えに行く必要があったりするのに「みんな残業しているから」という理由で残業を強要するのは違法になる可能性があります。 ■子どもが3歳未満なら残業の制限ができる また、子どもが3歳未満の場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、残業を制限してもらうことが可能です(所定外労働の制限)。ここで言う「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、「経理職の場合の決算日直前や税務調査の前」など、「その人が残業をしないと明らかに仕事が回らなくなる場合」と考えましょう。 所定外労働の制限を請求するには、1回につき、1ヶ月以上1年以内の期間について、所定外労働の制限の開始・終了の日を明らかにして、開始予定日の1ヶ月前までに書面等で請求する手続きが必要になります。具体的な手続きは社内の担当者や担当部署に聞いてみましょう。 なお、正社員だけでなく契約社員やパート・アルバイトも、条件次第ではこの制度を使うことが可能です。ただし、会社によっては労使協定との関係で使えないこともあるため、まずは確認してみましょう。 加えて、この制度は「配偶者が専業主婦(主夫)」の場合でも利用可能です。「ワンオペ育児で大変だからせめて残業はできるだけしないで帰りたい」という場合には、手続きをしてみてはいかがでしょうか。 また、この制度を使える条件にあてはまっているのに「残業しないなら次の昇進はなしね」「残業しないなら明日から来なくていいよ」などの不利益な扱いをするのは、法律で禁止されています。万が一そのような言動があった場合は、会社に苦情を申し出るか、最寄りの労働基準監督署に相談してみましょう、