前なら興ざめするCG合成が気にならない、フジテレビの水10「ブルーモーメント」 ドラマの世界に誘う脚本と音楽
【TV視てますか?】 フジテレビの水10ドラマ「ブルーモーメント」は明日からラスト2作(前・後編)に突入する。予告では、関東直撃必至のスーパー台風が刻一刻と接近中だ。 〝ブルーモーメント〟とは、日の出前と日の入り後のほんのわずかな間だけ、街全体が濃い青色に染まる時間のこと。実は今春、テレビを買い替えたのだが、一回り大きくなった新品の画面に、その〝街全体を染める濃い青色〟が映し出されたときは、美しさにため息が出た。 一度目のブルーモーメントは、気象庁気象研究所研究官役で主演の山下智久が同僚で婚約者役の本田翼と、二度目は山下の助手役の出口夏希とのツーショット。超早朝ロケだろうけれど、こんな絶景、なかなか〝生〟で見られるものじゃない。 かつて山下が主演した「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―」にテイストが似てはいるが、当時に比べて映像技術は格段に向上しており、随所にCG合成が使われている(ように見受けられる)が、こればっかりは実写だろう。 気象災害から人命を守ろうと、命がけで立ち向かうSDM(特別災害対策本部)メンバーの奮闘を描く本作。悪天候の雪山で発生した雪崩、強風注意報発令中の繁華街での火災、巨大な雹(ひょう)と濃霧、線状降水帯による集中豪雨、さらには竜巻やダブルレインボーも登場。以前なら興ざめするCG合成が、今回は気にならない自然な仕上がりとなっている。 裏を返せば、それだけ脚本(浜田秀哉)と音楽(佐藤直紀)が優れ、ドラマの世界にひたらせてくれる。気象班チーフの山下、消防班チーフの水上恒司、医療班チーフの夏帆ら、演技陣がバランスのとれたハーモニーを奏でてくれている。 特に第5話からは、警察班チーフとして橋本じゅんが配属されたことで俄然(がぜん)厚みが増した。彼は警察官だが、SDMを統括する特命担当大臣(舘ひろし)のライバルの総務大臣(真矢ミキ)の夫で、自ら「スパイ」と公言している。めったに見ない、橋本ならでは役柄だ。 (新橋のネクタイ巻き)