フラメンコの真の魅力を伝えたい「ネオフラメンコプロジェクト BEGINS Vol.2」
フラメンコ・ギタリストの徳永兄弟、パーカッショニストのラファエル・モイセ・エレディア、KAN、ベーシストの森田悠介、フラメンコ・ダンサーの中原潤とJITAN.による、フラメンコの真の魅力を凝縮した「ネオフラメンコプロジェクト BEGINS Vol.2」が来る6月にイイノホールで開催される。 【全ての写真】フラメンコ・ギタリストの徳永兄弟 同プロジェクトのvol.1はフラメンコ・ダンサー中原潤をフィーチャーした形だったが、vol.2ではよりミュージシャンの存在感を強調した、同時にダンス・パフォーマンスの醍醐味を堪能できる構成になっている。 ――ネオ・フラメンコというキーワードについて、「ネオ」がつくことで、通常のフラメンコとはどのような違いがあるのでしょうか? 徳永兄弟 フラメンコの一般的なイメージとして、本来スペインで行われているものと、今日本で伝わっているものが、全然違っているという現状があります。僕たちはギターなんですけど。ギターはダンサーや歌手の後ろで伴奏楽器みたいな感じで伴奏しているイメージじゃないですか? パッと見た瞬間、踊りがメインみたいな。そのイメージを塗り替えるというか、日本の方々にもっとフラメンコ本来の魅力とかカッコよさを伝えたいと思っていて、「既成のイメージを新しく塗り替えていく」という意味での「ネオ」でもあります。 ――スペインで実際フラメンコの真髄を学ばれたということも、大きかったのでしょうか。 徳永兄弟 スペイン人には彼らは彼らで出来ることがあって、でも僕たちはこっち(日本)の土地で生まれてこっちの文化で育ってという、僕たちにしかできないことをやりたいということが、発端でした。スペイン人にもできないような魅力も開拓して、本能的にやっている部分と組み合わせて新しいものを作っていきたいんです。 森田悠介(以下、森田) 僕は元々はジャズ・フュージョンとかポップスの作曲とか、フラメンコとは関わりのない日本の音楽シーンで活躍してきたんですけど、プロデュース畑の友人が、僕の六弦ベースのソロを聴いて『森田君、面白い弾き方をするからフラメンコとか興味ない? ということを聞いてきたんです。それで徳永兄弟の音を聞かせてもらって、もうすごい衝撃を受けまして。兄弟でやっているということもあってユニゾンの息もぴったりで、こんなにリズムもバチバチ決まって、ハーモニーも今まで他のジャズなどでは聴いたことのない音の選び方だったり、大変な衝撃を受けて、実際に兄弟とスタジオに入ってセッションすることになったんです。 ――違うジャンルで活動してきたということが、逆に刺激にもなったのですね。 森田 「彼らは楽譜を使わないで耳だけでやっていたりするんですが、僕らがジャズで楽譜を使ってやっている音と共通しているところもいっぱいあって、僕は共通点を探りながらついていったんですが、色々リズムのルールなどを学ばせてもらって、新しい刺激を受けていきました。 ――ダンサーの中原さんは、フラメンコの貴公子として大変な人気ですが、ここ数年で活動に変化が起こったりしましたか? 中原潤(以下、中原) そうですね。このフラメンコプロジェクトが特にそうなんですけど。仲間たちと活動することが増えました。以前はソロのほうが多かったと思います。 ――中原さんはだいぶ早い時期からスペインに留学されて、その後も何度も留学されています。フラメンコは簡単に学び尽くすことが出来ない深いアートなのでしょうか? 中原 それはそうですね。日本でフラメンコを学ぶ立場としては、もう何度でもスペインに行って常に新しいものを吸収してくるという感じです。フラメンコはちょっと特殊で、日本人に刺さるところがあると思うんです。なんか日本の民謡とか歌謡曲とか、マイナーな拳があったりとか…もともとフラメンコジプシーの人たちが生活の苦しみなんかを歌っている曲が多くて、普通に聴くと暗いイメージがあるんですけど、だけど暗いだけじゃなくて、その中に力強さみたいなものもあってとても惹かれます。 ふたりのギタリスト、ふたりのパーカッショニスト、ベース、ふたりのダンサー、そしてカンテ(歌手)による、真剣勝負のネオ・フラメンコ・パフォーマンス。日本発信のオリジナルなフラメンコ・セッションの登場である。 取材・文:小田島久恵 <公演情報> ネオフラメンコプロジェクト BEGINS Vol.2 公演日程:2024年6月27日(木) 会場:イイノホール