スマホでも? 遺言の“デジタル化”検討へ 利用は1割未満のみ…「過剰な制約」成年後見制度も議論【#みんなのギモン】
■財産管理や契約などを支える制度
鈴江アナウンサー 「デジタル化とは別の話として課題に挙がっているのが、成年後見制度を使いやすくすることです。どんな制度か知っていますか?」 刈川くるみキャスター 「知らなかったです。『後見』という文字があるので、何かをサポートしたり、サポートしてもらったりする制度ですか?」 鈴江アナウンサー 「はい、まさにサポートされる制度です。認知症や障害などがある方が、さまざまな契約や手続きをする時に、ひとりで決めるのが困難となるケースもありますよね」 「そうした時に、後見人として選ばれた弁護士や司法書士などがプロの立場で財産の管理や契約などを代わりに行ったり、サポートしたりという制度です」 辻岡アナウンサー 「弁護士や司法書士だけではなく、家族も後見人になれるんでしたっけ?」 鈴江アナウンサー 「本人の意思で家族にお願いするということもできます。ただ、認知症などで本人の判断が既に難しい状況になった後だと、後見人を家庭裁判所が選ぶことになります」 「成年後見制度は高齢社会を支える仕組みとして2000年にスタートしたものですが、利用者は2022年末時点で約24万5000人。来年には認知症の高齢者は約700万人になると推計されている中で、利用している人は単純計算すると1割にも満たないことになります」
■「使い勝手が悪い」指摘も…課題は
市來アナウンサー 「そんなに少ないんですね。この制度(の内容)を見ていると便利だなという印象ですが、なぜここまで浸透していないのでしょうか?」 鈴江アナウンサー 「利用に踏み切るには使い勝手が悪いと指摘されている点があります。それは、制度を一度利用すると原則、途中でやめたり交代したりできないということです」 「例えば弁護士が後見人になった場合、遺言書など相続の手続きには活躍できますが、それが終わっても基本的にはずっと同じ後見人のまま。介護やデイサービスなどで社会福祉士にお願いしたくなっても、現在の仕組みでは利用者の意思による変更はできません」 「しかも、成年後見人に支払う報酬は平均で年間33万円。この報酬はずっと支払い続けなければなりません。そのため利用者からは『使いにくい』などの声が上がっています」 「後見制度に詳しい司法書士の西川浩之さんも『過剰な制約になっている。必要性がある場合に必要なだけサポートを受けられるようにしていくべきだ』と話しています」