【コラム】深化する朝ロ密着、金正恩-トランプのブロマンスは終わったのか(2)
◆別荘の前をミサイル発射場に 北朝鮮は今年に入って極超音速ミサイルと巡航ミサイル、超大型放射砲の同時発射など21回のミサイル公開発射を行った。このうち1月14日と4月2日に発射した極超音速ミサイルと先月31日に発射した火星19型ミサイルは、平壌市(ピョンヤンシ)三石(サムソク)区域にある金正恩の特閣(別荘)の塀の向こうの空き地から発射されたことが分かった。三石区域の特閣は、北朝鮮の最高司令部バンカー近隣にゴルフ場3ホールを備えた北朝鮮最高指導部の休養所と知られている。極超音速ミサイルは音速の5倍以上の速度で機動して迎撃を避け、初めて公開した火星19型は高度7687キロまで81分56秒飛行し、歴代最長飛行記録を更新した。金正恩が米国に向けた武力示威を自身の特閣の前で実施したということだ。米国を脅かすミサイルを撃つ時はキム・ジュエとして知られる娘も同行させた。結果的に北朝鮮の最近の動きはロシアとの密着に先代の金日成を召喚し、米国に向けた対立に次世代の象徴である娘を動員したということだ。 金正恩は自身が野心を持って臨んだハノイ会談の衝撃からまだ抜け出せていないようだ。米国と関係改善を通して対北朝鮮制裁の緩和を図ったが、挫折を経験し、その後はロシアに軸を傾けたことを見せている。金正恩がトランプ氏とブロマンスを回復するより、当分はロシアに向けたジェスチャーを継続する可能性が高い。北朝鮮はロシアと密着することで米国・中国が妬むことを望んでいる可能性もある。金正恩はトランプ氏と個人的な関係とは別に、自身がハノイで受けた「屈辱」を徹底的に「計算」(報復)する絵を描いているのかもしれない。 ウクライナと中東の戦争で国際秩序が再編される雰囲気だが、しかし戦争が終われば次の順序は北朝鮮だ。最近イランが制裁を避けるために高濃縮ウラン生産を中断するという意向を国際原子力機関(IAEA)に明らかにしたという。トランプ2期目を懸念しているという見方が出ている。北朝鮮としても答えはトランプ氏に対する徹底的な「計算」でなく、ブロマンス回復を通した対北朝鮮制裁の解除だ。来年1月に就任するトランプ氏にも金正恩にも時間は4年間だけだ。 チョン・ヨンス/統一文化研究所長/論説委員