年金の「満額」ってどのくらいですか? 年収1000万円くらいあればかなり高額の年金を受け取れるのでしょうか?
年収1000万円なら「満額」の年金がもらえるの?
年収が1000万円だからといって、老齢厚生年金の受給額が「満額」になるとはかぎりません。厚生年金の受給額は、加入期間、毎月の給与(標準報酬月額)、そして賞与の額と支給回数(標準賞与額)によって大きく変わるためです。 例えば、年収が1000万円であっても、賞与が1回にまとめて支給され150万円を超える場合、その超過分は年金計算に含まれません。また、年収が高くても厚生年金に加入している期間が短いと、年金受給額に大きな影響が出ます。厚生年金は、長期間にわたり報酬が高いほど受給額も増えますが、年収だけで満額受給とはならないのです。
年金額を満額に近づけるにはどうすればいいの?
年金額を満額に近づけるには、老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれに対策が必要です。 ■老齢基礎年金を満額に近づける方法 老齢基礎年金を満額にするためには、20歳から60歳までの40年間、すべての期間で保険料を納め続けなければなりません。未納があるとその分だけ減額されるため、支払いをしっかりと管理することが重要です。保険料の支払いが難しいときは、免除制度や猶予制度を利用して支払いを保留にし、後に追納することで受給額を増やせます。 また、60歳から65歳になるまでの間に任意加入して保険料を納付することで、納付期間を増やし、年金額を増やすことも可能です。 ■老齢厚生年金を満額に近づける方法 老齢厚生年金は、長期間にわたって高い収入で加入することで満額に近づけることができます。標準報酬月額と標準賞与額が高いほど年金額は増えるため、できるかぎり厚生年金保険に加入し、報酬の上限である65万円に近い給与を維持することが望ましいです。 また、60歳を過ぎてからも再雇用などで働き続けて厚生年金に加入すると、その期間分がさらに年金額に加算されるため、定年延長や再雇用制度を活用することも有効な対策です。 老後の生活に安心をもたらす年金ですが、少しの工夫と計画で受給額を増やせます。ご自身の年金加入状況を定期的に確認し、必要に応じて追納や再雇用を検討することで、より充実した老後を迎えるための準備を進めていきましょう。 出典 日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度 日本年金機構 令和6年版 老齢年金ガイド 厚生労働省年金局 標準報酬月額の上限 執筆者:富澤佳代子 1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者
ファイナンシャルフィールド編集部