「スクリューキャップのワインは2流品」は本当?
スクリューキャップを見ただけで、そのワインを買うのをやめてしまう消費者もいまだに多い。「ワインはやっぱりコルクをワインオープナーで抜かないとね」という伝統派のこだわりもわかるけれど、スクリューキャップというのはそんなにダメ、なものなのだろうか。 「お客様からアドバイスを求められて、料理にぴったりの1本をお勧めしても、それがスクリューキャップだと、途端に手を振って却下されますね」と、どのワインショップでも似たような話を聞いた。取材したのはパリでも先進的な人が集まる9区なのに、スクリューキャップは不人気なようだ。それにしてもフランスの消費者はどうしてスクリューキャップのワインに対し、判で押したような拒否反応を示すのだろうか。米国では普及しているのに、フランスではコルク栓が圧倒的人気だ。
根強い先入観
2014年に実施されたOpinionWayの調査によると、フランス人の83%がコルク派のようだ。伝統的な愛着は、共感覚的な体験に根ざしている。まず、コルクを目で見ることで安心する。次に、ワインオープナーで栓を抜くというジェスチャーは、一部の人にとって儀式のような意味合いを持つ。最後に、ワインがくびきから解き放たれて外気に触れる時の音が耳に心地よく届く。ダメ押しでプルーストを持ち出すまでもなく、幼少期の思い出や慣れ親しんだことを、無意識のうちに求める気持ちが私たちの中には刻み込まれている。 それにしてもワイン好きの人が反復行為にこだわるのは不思議な気がする。自然の産物であるワインほど、変化に富んだ飲み物はない。良ヴィンテージは数えきれずあり、瓶詰めされた後は時間と共に進化する。テイスティングは常に新鮮でユニークな、唯一無二の体験だ。だから、コルクという慣習にこだわるのはいささか矛盾しているようにも思う。もちろん変化を好まない消費者が、気密性に問題があるという理由でスクリューキャップを一時期、頭ごなしに否定していたことはあった。しかしその後の技術的進歩により、否定する理由はなくなった。「気に入らない」という理由以外は。