惨敗「自民」は大躍進「国民民主」と組めるか? 玉木代表と森山幹事長の“ガチンコ交渉”に拭えない不安
政治部デスクが言う。 「自民党と公明党を合わせた議席数は215議席で過半数にまで18議席足りない苦しい状況となりました。裏金問題で非公認にした萩生田光一氏らを公認するにしても、議席が足りない。そこで、政権が頼りにしているのが議席数が4倍に躍進した国民民主党というわけです」 しかし、国民民主党の玉木雄一郎代表は連立入りを当初から否定している。そのため取り沙汰されているのが、政策ごとに合意をとりつけていく「部分連合」の可能性だ。すでに自民党と国民民主党は今後、政策協議を行っていくことで合意している。 実は国民民主党の政権入りは昨年にも検討されていた。岸田文雄前政権時代の話だ。 官邸関係者が言う。 「昨年9月の内閣改造の際、野党を分断するという名目で国民民主党との連立構想が浮上していました。しかし、それを強く推進していたのは、麻生太郎自民党最高顧問や茂木敏充前党幹事長でした。公明党嫌いの二人が国民民主党を引き入れ、公明党の影響力を削ごうとしたのが実態だったんです。麻生さんと茂木さんと玉木さんが極秘に会っていたという情報もあったほどでした」 しかし、その話は立ち消えになる。 「玉木さんが大臣候補になっていたのは間違いないのですが、岸田前首相の側近である木原誠二さんが反対していたようです。二人は財務省の同期とはいえ、折り合いが悪いようで……。結局、その時の改造では国民民主党の参院議員だった矢田稚子氏が首相補佐官として起用されるに留まりました」(同)
日本維新の会に強いパイプ
一見、自民党と国民民主党は良好な関係に見える。だが、自民党関係者が不安視しているのは、まさにその点だ。 「石破首相にとっての頼みの綱は森山裕幹事長です。衆院選の結果を受けて、選対委員長の小泉進次郎さんが辞任の意志を伝えた際、森山さんが一緒に辞めるというプランも検討されたようです。しかし、石破首相からすれば、森山さんが辞めれば政権が持たない。結果的に、森山さんは留任することになったものの、その森山さんに国民民主党との強いパイプがあるのか、疑問符がついています」 森山氏は2017年から国対委員長を1534日間務め、歴代最長の委員長となった。そのため、党内外に強いパイプを持つとされている。 「森山さんは国民民主党よりも日本維新の会に強いイメージがありますよね」 と、この自民党関係者。 「先の通常国会で自民党と維新が旧文通費改革をめぐって揉めた際も、森山さんが事態収拾に乗り出し、維新の幹部とのやり取りを重ねていました。しかし、国民民主党と強いパイプがあるのでしょうか。自民党と国民民主党は、かつてガソリン税を一部軽減するトリガー条項の凍結解除実現についての協議が決裂したという経緯もありました」 もともと玉木代表を強く推していたのは、麻生氏。すると今回、自民党と維新のように裏で交渉を重ねて“握りながら”、合意を目指すという詳細なやり取りはできないのではないかと言われているのだ。すると両党は「表でのガチンコ交渉」をすることになる。先の見えない極めて不安定な政策協議になることが予想され、実はこれに戦々恐々としているのが財務省である。 先のデスクが言う。 「国民民主党が掲げている基礎控除等の引き上げ、トリガー条項凍結解除などの政策を自民党が丸のみしていくと、大幅な税収減となってしまいます。そのため、項目を選んで自民党は取り入れていくことになる。例えば、国民民主党が主張している『全ての保育園・幼稚園・小中学校・高校へのエアコン設置』などの細かい政策は呑んでいくことは大前提として、昨年にトリガー条項をめぐる協議がダメになってしまったことを踏まえると、大きな政策として現実的なのは基礎控除等の引き上げを導入することです」