【アイスホッケー】 平野裕志朗(AHLユティカ、ECHLアディロンダック)五輪予選直前インタビュー 「結果を残して、若い人や子どもたちが歴史を書き換えてくれるのを楽しみにしたい」
五輪予選でしっかり勝っていって「いい流れ」を未来につなげたい
――平野選手は日本のアイスホッケーファンのためにYouTubeの編集作業もしています。アメリカで戦って、日本のために「広報」活動をする。これって、なかなかできないことだと思うんです。 平野 まあ、他の人に振れればいいんですけどね(笑)。自分のアカウントとか、YouTubeの番組なんかは兄が手伝ってくれているんですけど。 ――アイスホッケー・マガジンの2年前の表紙は、平野選手と佐藤優選手(KHLニジニ・ノヴゴロド、現在はVHLディーゼル・ペンザ)の予定でした。私は病気で倒れてしまって迷惑をかけたのですが、その佐藤選手は、今年、KHLの試合をスクラッチ(ベンチを外れる)することもありました。体が万全なのにスクラッチに甘んじるというのは、ホッケーマンにとって本当につらいことですね。 平野 優はまだ若いので、早い段階でそこから立ち上がっていくというのも大事な経験だと思います。彼はすごくポテンシャルがあるので、ここで耐えて、耐えて、耐えきったときに、結果が出てくると信じています。 ――佐藤航平(イギリス・ベルファスト)、三浦優希(ECHLアイオワ)、磯谷建汰(WHLワナッチー)、安藤優作(NCAAミネソタ州立大マンケート校)など、海外でプレーする人は平野選手を「トップランナー」としてみんなが頼りにしていると思います。 平野 海外に出ている人で、年齢が自分より上の人が人里茂樹さん(ポーランド・カトヴィツェ)しかいないんですけど、若い人を見ていると、自分が昔、経験したものを思い出させてくれるんです。こないだも優希が「今は4つ目で、あんまり試合に出れていないんです」と悩みを話してくれたり、榛澤力(NCAA・セイクリッドハート大)が「今、ちょっとつらいんですよ」と相談してくれたり…。それでいて磯谷君は、しっかりと結果を残していますからね。僕も刺激を受けているし、彼らとはもっともっと「ファミリー」になりないなと思っています。自分たちのやってきたことを、若い人だったり、子どもたちが書き換えてくれるのを楽しみにしていたい。そのためにも、日本代表がここで踏ん張らないといけないんですよ。 ――あらためて、五輪予選にかける思いをお話しいただけますか。 平野 今シーズン、いろいろなことが日本のアイスホッケーにありました。僕個人にもいろんなことがあって、今もまた、もがいている時期ではあるんですけど、その中でチーム(アディロンダック)はいい状態なんです(1月途中まで12連勝)。チームの「キー」を任されているとはいっても、僕はまったく満足していない。自分はもっともっとできるし、「ここでもがいているようじゃ、NHLはまだまだ」と、自分に言い聞かせながらやっているんです。今、ちょうどそのタイミングで「日の丸」を背負って戦えるチャンスが来た。五輪予選はいいトーナメントにして、しっかり勝っていきたい。そして、その思いをしっかりアメリカに持ち帰って、自分の未来につなげたいなと思います。 ひらの・ゆうしろう AHLユティカ・コメッツ、ECHLアディロンダック・サンダー所属。FW。1995年8月18日生まれ、北海道苫小牧市出身。緑小から和光中、高校は帯広の白樺学園へ進み、ティングスリュード(スウェーデン)、USHLヤングスタウンを経て2016年から東北フリーブレイズでプレー。その後はカルマル(スウェーデン)、AHLウィルクスバリ・スクラントン、ECHLウィーリング、ECHLシンシナティ、横浜グリッツ、AHLアボッツフィールド、そして今季からユティカ、アディロンダックに在籍する。背番号は「71」。理由は「姪っ子の誕生日が7月11日だからです」とのこと。
山口真一
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