【アイスホッケー】 平野裕志朗(AHLユティカ、ECHLアディロンダック)五輪予選直前インタビュー 「結果を残して、若い人や子どもたちが歴史を書き換えてくれるのを楽しみにしたい」
NHLだって「きっかけ」さえあればそれほど遠くに見えているわけではない
――今はECHLでプレーしていて、「やりたいことができている」ように思います。バックドアを決める左のシュートエリアは、まさに「ショータイム」。でもAHLでは、今季4試合出場でマイナス5です。 平野 AHLはちょっとしたミスで、確実に決めてくる選手が多いんですよ。僕は4つ目で出ることが多くて、そうなるとトライが少なくなるんです。「そこにいて欲しいのに、いない」みたいな、ちょっとしたズレがある。そうこうしているうちに相手に付け込まれる…というケースが多いですね。 ――今後ユティカにコールアップされたら今度はうまくやってやる…そういう自信はあるのでしょうか。 平野 プレー自体は悪くないと評価してくれていますし、1つ目のPP(パワープレー)にも使ってもらっていたんです。シューターとして認めてくれる場面もあって、自分では確実に「できる」と思っています。ユティカは今シーズンからプレーするんですけど、チームが変わると、自分に対する見方もずいぶん変わってくるんですよ。2年前、アボッツフィールド(AHL)でプレーした時には、ちょっとずつ試合に出してもらって、自分のアピールポイントもわかってもらえて、最後には1セット目、2セット目で使ってくれた。本当にいい流れに乗っていたんです。今回のユティカはFWの9人が決まっていて、4つ目でなんとか結果を出さなきゃいけないというのはあるんですけど、まあ難しいですよ、新しいチームでやるというのは。 ――今、平野選手は28歳。たとえば「28歳」の選手と「20歳」の選手がいたとしたら、もしかしたら20歳のプレーヤーのほうにチームやエージェントは引かれるんじゃないか、という可能性もあります。 平野 もちろん、あるでしょうね。28歳の平野と、組織が育成のために取った若い選手と、どっちをとるのか…。僕は、とにかく結果を出すしかないんです。誰にも、何も言わせない数字を挙げていくしかない。もちろん自分には足りないものもあると思うんですが、海外は「きっかけ」と「タイミング」で、どうにでもなると思っているんです。去年はECHLでやっていて、今はコールアップされてNHLでプレーしている選手もいます。本当に「きっかけ」さえあれば、何が起こるかわからない世界なんですよ。だからNHLだって、僕にはそれほど遠くに見えているわけではないんです。ただ、リーグにはまだまだ「アジア人」という枠で見られてしまう。実力でカバーできていないというのが僕の力です。 ――実力の世界とはいえ、アジア人はやっぱり不利な状況になってしまうと…。 平野 そうです。こういうリーグで7年、8年やっていると「しょうがない」こともわかってくるんです。ほかの日本人はそれだけ長く海外でプレーした経験もないと思いますけど、でも、それを言い訳にしたくないし、将来、子どもたちに味わってほしくない。ここで戦い続けることで、何か結果を残したいというのはあります。 ――アディロンダックは、アフィリエイトのトップがニュージャージー・デビルズ。古いファンからすると、DFスコット・スティーブンス、ニーダマイヤー、FWクロード・ルミューといった栄光のチームです。一番のスターはGKマルティン・ブロデューア。メドーランド(旧本拠地)に一度見に行ったことがあるのですが、今度はプレデンシャルセンターに響く「レッツゴー・デーボー」という歓声を、平野選手が浴びる姿を見てみたいです。 平野 本当に栄光のチームですからね。そういえばブロデューアの息子が、アディロンダックのゴーリーなんです。試合にも、よく父親が見に来ていますよ。
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