「たくさんの人が『生き残れ!』と声を届けてくれた」復活した“新ホピ子”が持つ意味
「『これ以上、自分にはできない』『自分の力で続けるのは無理だ』と……白旗をあげて、諦めていたところもありました」
当時の取材でも「また戻ってきたい」と語っていたものの、現実的に自分たちだけで復活の道を探るのは不可能に限りなく近い状態だったという。
「『もう受け入れるしかないんだ』『自分たちはもうここに残ることはできないんだ』と思いました。それは今のレース界だけじゃなくて、社会の中でそういう方たちがいらっしゃると思います。色々な渦に飲み込まれてしまって浮上できなくなる。でも、それが現実な部分もあると思います」
そんな、どん底の日々過ごしていた時、周囲から自然と「25号車(愛称:ホピ子)の復活」を願う声が様々なところから上がった。
「たくさんの人が『生き残れ!』という声を届けてくださって……自分もその声を頼りに本当に這いつくばって、ここまで来ました。そうして、自分が暗闇のなかでどうしようもないと思っていたところを、皆さんが出口に導いてくれました」
こうして「ホピ子復活プロジェクト」が立ち上がり、ホームページで支援者を募ることとなった。プロジェクトが始まると予想を遥かに上回る支援が寄せられ、チームもマシンの制作に着手。さらに全焼だったマシンを細かく調べたところ、一番の根幹部分となるメインフレームにダメージがなかったため、マシンをゼロから作り直すのではなく、つちやエンジニアリングの想いが注ぎ込まれてきたホピ子を修復するという形で作業が進められることとなった。
こうして、2024年シーズンの開幕前にマシンが出来上がり、3月下旬の公式テスト富士で半年ぶりにファンの前でホピ子が走行した。
「たくさんの方が『おかえりなさい!』と言ってくれて、なかには『ありがとう!』と言ってくれる人もいました。みんなが、この道をつないでくれたと思います」
「このクルマにはみんなの想いが宿っていますし、本当にたくさんの人の想いを背負っている『自分がこのクルマをずっと走らせ続けないといけない』という……感情というよりはプレッシャーですね。責任の重さみたいないなものが一番強いです」
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