名字を守るため「事実婚」選ぶZ世代。親の説得、複雑な手続き…24歳女性起業家の奮闘記
大学生時代に「おかえりショーツ」で起業し、現在は東京大学の院で研究をしながら、非営利株式会社ピロウのCEOとして女性起業家の支援や、「ジェンダード・イノベーション」の実践に励む江連(えづれ)千佳さん。 【全画像をみる】名字を守るため「事実婚」選ぶZ世代。親の説得、複雑な手続き…24歳女性起業家の奮闘記 江連さんは2024年、パートナーと互いの名字を変えたくないことを理由に、事実婚を選択しました。 離婚や死、子どもが産まれたら……など、あらゆる状況を想定して作成した公正証書や、戸惑う両親のために作った事実婚の疑問に答えるQ&Aボット。そして「結婚式」や「新郎新婦」と呼ばない、脱・家父長制を目指したセレモニーなど、事実婚をすると決めてから実現するまでの1年半に及んだ奮闘を振り返ります。
「選択的夫婦別姓できない」から「事実婚」
「なんで自分の名字のままがいいの?」 事実婚を選んだ私が、もう何度も聞かれた質問だ。毎回無難に「いやあ、起業してるから、登記とかね、面倒なんだよね~」と説明してしまう。だが、私は内心もやっとしている。本当の理由はすごくシンプルだからだ。 「自分の名前が好きだから、ずっと使ってきた名字で生きていきたいから」 そう胸をはって言える日はいつ来るのだろうか。まさか、2000年生まれの自分が結婚する時、まだなお選択的夫婦別姓の政策が足踏みをしていて、自分の名字を名乗り続けることに合理的な説明を求められる時代が続いているとは思わなかった。 今日、11月22日は「いいふうふの日」として知られている。夫婦の絆や関係を見直す日として、多くのカップルにとっての記念日だ。だからこそ、多様ないいふうふの形が生まれる未来のために、できることを考えてみたい。 「自分の名字で生きていきたいから、事実婚を選びたい」と希望する人は、私と同世代のZ世代女性の中でかなり多いように感じる。今のところ、私の友人で結婚した人の半数は事実婚を選んでいるし、私自身もまさに「自分の名字のまま生きていきたい」という理由で事実婚を選んだ。 事実婚という手段の知名度が上がってきた一方で、具体的な方法や手続きにかかる時間、金額についてはあまりインターネット上でも情報がない。事実、私とパートナーも情報収集に膨大な時間がかかった。 そこで今後、事実婚を選びたいと考える方のために、私とパートナーが事実婚するまでの、1年半に及んだリアルなプロセスを書き留めておきたいと思う。