ユーロ圏インフレ率、5月速報2.6%に加速 ECBが警戒も
[フランクフルト/ローマ 31日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が31日発表した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比2.6%と、4月と3月の2.4%から加速した。 ロイターがまとめた市場予想は2.5%だった。 変動の激しい食品、エネルギー、アルコール、たばこを除くコアインフレ率は4月の2.7%から2.9%に加速した。 サービス価格の上昇率も3.7%から4.1%に加速した。 インフレ率は予想を上回ったものの、欧州中央銀行(ECB)はこれまで強く示唆してきた通り、来週に利下げを実施する可能性が高い。ユーロ圏では急ピッチな利上げにより消費者のインフレ期待が安定しており、融資も伸び悩んでいる。 ただ、市場ではECBが7月の追加利下げを見送り、利下げペースが鈍化するとの見方が強まる可能性がある。 ナティクシスのエコノミスト、ディルク・シューマッハー氏は「今回の統計を受け、慎重な対応が必要だと主張してきた当局者の立場が強まるだろう」と指摘。 S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのディエゴ・イスカロ氏は「最新のインフレ統計と賃金統計を受けて、7月の連続利下げの可能性は低下したとみられる。ただ、予想通り第3・四半期にインフレの低下基調が再開すれば、年内に2回の追加利下げがあるとみている」と述べた。 ECB理事会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁は、5月の上昇加速は予想していたとし、データは「良くも悪くもない」と記者団に語った。 インフレ統計を受け、ドイツ国債利回りは約6カ月ぶりの高水準に上昇した。 市場は現在、年内の利下げ幅を約57ベーシスポイント(bp)と予想。6月の25bp利下げに加え、年内にあと1回の利下げがあるとみている。年内に3回の利下げがあるとの見方は、ここ数週間で徐々に後退している。