『虎に翼』同居問題を巡り家族裁判が開廷 玲美が見せた“結婚にはこだわらない”の姿勢
戦後世代の女性として玲美(菊池和澄)の登場には“必然性”が
男女平等が標準装備になった戦後世代の女性として、玲美は『虎に翼』に登場すべくして登場した感がある。花江は、自身の経験から世代の異なる女性が共同生活を送ることにナイーブになっている。なくなったはずの家制度の残滓に、今なお影響されているともいえる。玲美は花江の考えに合理性がないことを指摘し、直人や直治(今井悠貴)はそれぞれの立場から花江への親孝行は自分たちの役目と主張した。 道男の寅子に対する距離感の近さ(「寅子」呼ばわり)にうろたえつつ、裁判を仕切る航一は、玲美に「あなた自身は猪爪家に同居することをどうお考えですか?」と釈明を求めた。これに対して「そもそも」と前置きした玲美が、「私は是が非でも結婚したいわけじゃありません」とちゃぶ台返ししたところで第99話は終わった。 梅子(平岩紙)による「竹もと」甘味継承者の座をめぐっては、桂場(松山ケンイチ)の厳正な吟味が行われ、己の全てを賭けた果たし合いの域に達している。小豆の声に耳を澄ませる梅子と全集中して団子を食する桂場の間に、店員と客を超えた絆が生まれてもおかしくない。
石河コウヘイ