「エッチしないことをグチグチと言われた」困窮の果て、歪んだ愛で娘の“パパ活”を支えた母親は高級時計を盗むよう指示した
マッチングアプリで出会った「パパ活」の男性から現金と高級時計を盗んだとして、窃盗の罪に問われた母娘に21日、判決が言い渡された。罪を認めた母娘に福岡地裁はそれぞれ執行猶予付きの有罪判決を下した。一連の審理で浮かび上がったのは、一家の貧困と歪んだ愛。母親は、パパ活で金を稼ごうとする娘を咎めるわけでもなく、金目のものを盗むよう指示していた―。
パートの稼ぎは少なく、娘は持病持ちで…
茶髪ロングヘアーの飲食店従業員の娘(31)と、白髪交じりの母(53)が福岡地裁の証言台に立ったのは今月15日のことだ。母娘が起訴されたのは、福岡県大牟田市の男性宅で去年11月、現金5万円と高級時計(時価45万円相当)を盗んだとされる窃盗の罪だった。母娘は福岡市の住宅で祖父と3人で暮らしていた。母親はパートタイムの仕事をするも稼ぎは少ない。娘は持病もあって仕事が長続きしなかった。携帯代の滞納も続き、生活は困窮していた。そこで娘は「パパ活」に活路を見いだしたのだった。
貧困にあえぐ中、パパ活旅行に心を踊らせる娘
去年11月、娘はマッチングアプリで福岡県大牟田市の男性と知り合う。ほどなくして男性宅を訪れては体の関係を持ち、3万円の報酬を手にした。男性からは東京旅行に同行すれば現金20万円と現地での買い物代の20万円、計40万円を渡すと持ちかけられた。男性は優しく、そして裕福に見えた。「行ったことがない場所だったので、記念なると思い楽しみにしていた」31歳になる娘は、貧困にあえいでいた。“パパ活旅行”に心が躍り、応じることに。出発の前日、男性の行きつけの飲食店で食事をして自宅へ向かった。事件はこの“前乗りお泊まり”で起きた。 娘「一緒に会話しているうちに嫌だと思うところが出てきた」 金銭面の待遇に惹かれた「パパ活旅行」。その夜も初めて会った時と同様に男性からは体の関係を求められた。しかし娘は、応じなかった。男性は「東京でもそんな態度とられれるなら嫌だ」とこぼした。そんな男性を横目に、娘は母親にLINEでメッセージを送った。 娘「気分が乗らなすぎる…。エッチしないことをグチグチと言われた」 母親は娘の“パパ活”を知っていた。“裕福に見える”男性のことも伝え聞いていた。そして、こう指示した。 母親「時計をもってこい、財布から現金盗め」 娘は男性が酒を飲んで寝たところ見計らい、財布から5万円とロレックスの時計を盗んだ。プレゼントすると言われていた「ルイヴィトン」のバッグも手に取り、家を出た。近くのインターネットカフェで一夜を明かし、早朝の電車で帰宅。盗んだロレックスの時計とヴィトンのバックはすぐに質店で売却した。売却で得た金は、滞納していた携帯代や車のローンに充てたほか、友人との交際費にも使ったという。母親と一緒にホテルに泊まる“贅沢”もした。娘は「生活が苦しくてぜいたくできなかったので、小さな旅行気分を味わいたかった」と法廷で吐露した。