2025年の景気見通し、「回復」7.7%で5年ぶりに1ケタ台、人手不足への対応と消費拡大策が焦点
2025年の景気見通しに対する企業の意識調査
2024年の国内経済を振り返ると、上場企業の好調さを背景に35年ぶりとなる日経平均株価の過去最高値更新や平均賃上げ率が過去最高を記録したほか、インバウンド需要や人出の増加から好調を維持した観光産業や、半導体と自動車関連メーカーを中心に輸出が景気をけん引した。加えて、大都市での再開発や設備投資なども上向いてきた。 また、マイナス金利解除に続き17年ぶりに政策金利が引き上げられ、いわゆる「金利のある世界」が戻ってきた。他方、急速な円安による原材料費の高騰や、食料品・生活必需品の値上げなどにより、個人消費の回復が十分といえず、人手不足が多方面で景気の下押し要因となった。また、中東情勢などの地政学的リスク、米大統領の経済政策の行方など景気に影響を与える要素が増えている。 そこで、帝国データバンクは、2025年の景気見通しに対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2024年11月調査とともに行った。
2025年の景気見通し、「回復」見込みが7.7%で5年ぶりに1割を下回る
2025年の景気見通しについて尋ねたところ、「回復」局面になると見込む企業は2024年の景気見通し(2023年11月調査)から5.1ポイント減の7.7%となり、5年ぶりに10%を下回った。また、「踊り場」局面は41.7%(前年比0.4ポイント減)と2年連続で4割を上回った。 他方、「悪化」局面を見込む企業は前年比3.6ポイント増の23.9%だったほか、「分からない」(26.7%、前年比1.9ポイント増)は7年ぶりの水準となった。
2025年の景気の懸念材料、「原油・素材価格」は依然トップ。「金利」「米国経済」が急上昇
2025年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「原油・素材価格(の上昇)」が46.2%(前年比12.8ポイント減)で最も高かった(複数回答3つまで、以下同)。2024年は地政学的リスクにより緊迫する場面もあったが、原油価格などの価格変動は限定的だったこともあり、前年から大きく低下した。 以下、「人手不足」(41.6%、同1.1ポイント増)や「物価上昇(インフレ)」(31.5%、同4.8ポイント増)、「為替(円安)」(30.7%、同6.7ポイント減)が続いた。 さらに、日本銀行が2024年7月に政策金利の追加利上げを決定し、今後さらなる利上げが予想されるなかで「金利(の上昇)」(24.1%、同6.3ポイント増)による景気への悪影響が懸念材料となっているほか、米大統領にトランプ氏が就任することによる政策転換への不安感などから「米国経済」(17.1%、同11.2ポイント増)への懸念が大幅に高まっている。