悩みや弱み、打ち明けにくい男性たち プレッシャーからの解放…「素人」だから応えられること
大学時代に遊びから始めた「恋バナ(恋愛にまつわる話)」収集が、今では将来の不安や労働、ジェンダーなど社会構造にからむ相談も受けるようにーー。ポッドキャストなどで発信しているユニット「桃山商事」代表の清田隆之さんは、これまで多くの人の悩みに耳を傾けてきました。しかし、あくまでも立場は「素人」。専門家ではないからこそ悩みに答えられることもあると話します。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】新聞の人生相談欄 昭和から変わらず多い、夫や子ども「家族」の悩み 清田隆之さん 1980年東京都生まれ。文筆業、桃山商事代表。ジェンダー、恋愛、人間関係、カルチャーなどをテーマに様々な媒体で執筆。朝日新聞beの人生相談「悩みのるつぼ」では回答者を務める。著書に『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』『さよなら、俺たち』『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』など。女子美術大学非常勤講師。
「現在地」を大切に
これまで1200人以上の悩みやモヤモヤを聞いてきたという清田さん。相談を受ける際は、「悩んでいる人が一番その悩みに詳しいという前提で答えるようにしている」と話します。 「相談をする側は、こちらが思いつくようなアドバイスや解決方法はとっくに浮かんでいると思います。たくさんの時間を費やして考えているはずなので、軽はずみにジャッジはしません」 「相手の話を聞き切らないと分からないことはたくさんある」と考え、対面で悩みを聞く際は質問を重ねて相手のモヤモヤの源流をたどり、相談文しか手掛かりがない場合はしっかり読み込むそうです。 現在、清田さんは朝日新聞の人生相談「悩みのるつぼ」でも回答者を務めています。 回答する上での基本的なスタンスは、相談者の心にひっかかっているものは何か、どのような状況にあるのかを「現在地」と整理すること。 「『現在地』という考え方は僕独自のやり方というより、『桃山商事』として相談に乗るときからそうしてきたこと。自然とみんなで作り上げてきたスタイルかもしれません」 人の気持ちは、分かりやすいものばかりではありません。たとえば恋愛相談では、相手が嫌いな気持ちと別れたくない気持ちのアンビバレントな思いが共存することも。 「割り切れない思いにハッキリ答えを出すのではなくて、矛盾していても、分かりづらくても、なんでもいいので、いったんテーブルの上にバラバラに出して考えてみる。そうすると見えてくるものがあると思います」と話します。