新型GRヤリスを深掘り、エクステリア篇 カッコの良さや冷却性能を高めるだけでなく、壊したときのことまで考えている
フロントまわりを中心に刷新
「GRヤリス」は2024年3月21日にマイナーチェンジを受け、大幅な進化を遂げた。また2人のWRCチャンピオンが監修した2台の特別仕様をも同時に発表するなど、大きな注目を集めている。ここでは特別仕様車と競技向けいわゆるモータースポーツのベース車を想定したRCを除いた、販売の中心となるRZとRZハイパフォーマンスを新型とマイナーチェンジ前モデルを比較し、新型がどれほど進化したのかを探っていきたいと思う。第3弾はエクステリアとボディなどを取り上げる。 【写真20枚】冷却性能の向上だけでなく捕集のしやすさにまで配慮した新しいフロント・マスクをはじめ、リデザインされた新型GRヤリスのエクステリアなど詳細画像をチェック ◆見た目もリフレッシュ 新型GRヤリスは、モータースポーツシーンでの競争力向上を目指したパワートレイン、コクピットの変更だけでなく、エクステリアにも改良が加えられている。 ◆フロントまわりは迫力が増した 顔つきでは大きくなったフロント・サイドの開口部により迫力が増した。サイドロアグリルを大開口化し、冷却性能を向上。さらに、バンパーサイドにエア・アウトレットが配置されたことで、サブ・ラジエーターとATFクーラーの熱を効果的に排出できるようになっている。 また、フロントのロア・グリルには軽量化と強度を両立したスチールメッシュが配され、バンパーロアサイドに分割構造が新たに採用された。モータースポーツ参戦時に石などの飛来物による損傷があった際の復元、交換作業を容易にする狙いによるもので、修復費用低減にも寄与する。 ◆機能性を高める変更 リアまわりでは、損傷回避と視認性への配慮から上下のリアランプ類が集約されたのも従来型との見た目の違いだ。ハイマウントストップランプとリア・スポイラーを分けることで、リア・スポイラーのカスタマイズ性を拡張。テールランプは一文字に繋がる一体感のある形状になり、後ろ姿からも新型であることがひと目で分かるようになっている。 ◆ボディも強化 高出力化に伴い、ボディも強化された。ボディとショックアブソーバーを締結するボルトが1本から3本に変更され、走行中のアライメント変化を抑制することで、操舵に対する車両挙動の応答性が向上。操縦安定性を高めることに成功している。さらに、スポット溶接打点数が約13%増え、構造用接着剤の塗布部位も約24%拡大することでボディ剛性をアップ。もちろん、これらはハンドリングや乗り心地の改善に寄与する。 ◆ドライブモードセレクトを新設定 走行モードの追加もニュース。従来型にもあった「4WDモードセレクト」に加えて、スポーツ走行と日常生活での使い勝手を両立するために「ドライブモードセレクト」を新設定。ユーザーの好みや参戦するモータースポーツの特性に合わせ、電動パワーステアリング、エアコン、パワートレインの設定が変更できる。「NORMAL」(ノーマル)モードは市街地からワインディングまでをカバーし、電動パワステやエアコン、アクセル・レスポンスはノーマルとなる。そのほか、省燃費モードの「ECO」モードも用意され、街乗りなどに向く走りや燃費重視の走行ニーズにも応えている。 価格面では、従来から設定されているMT同士で比較すると「RZ」は52万円高、「RZ “High-performance”」は、42万円高となっている。ビッグマイナーチェンジといえる充実の内容だけに、この価格アップは十分に頷けるファンやユーザーが多いはずだ。 文=塚田勝弘 写真=宮門秀行 (ENGINE WEBオリジナル)
ENGINE編集部