地域に愛され半世紀、まちの社交場がまた一つ…ちょっと待った! 昭和の雰囲気そのまま、通り会が「キング」再生へ 南九州市川辺
鹿児島県南九州市の川辺町商店街で半世紀近く親しまれ昨年末に閉店した「スナックキング」を、にぎわい拠点として生かす取り組みを通り会が進めている。通りに面した地の利を生かし、チャレンジショップに再生。期間限定で出店希望者を募り、9月にオープンする。 【写真】(関連)ママの辰野久美子さん(左から3人目)を囲み往時を懐かしむ通り会員ら=南九州市川辺町平山
キングは、1974年に辰野久美子さん(73)が夫と開店。数少ない地元の社交場として、カウンターとボックス席に多い時は約50人の客でにぎわった。当初、昼も喫茶店として営業していたが、92年に夫が亡くなってからはスナックだけ続け、1人で切り盛りしてきた。ママの気さくな人柄で繁盛。閉店前の3日間は連日、満席の常連客らが別れを惜しんだという。 8月24日は、通り会員らが店内を清掃。昭和の雰囲気を残すため、グラスや酒瓶の入った棚、カウンター、置物などはできるだけそのまま使う。古いガラス器を手に「これで昔、かき氷を食べたね」など、思い出話に花を咲かせた。 辰野さんは「夫婦20代で店を始め、よく続いたと思う。思い出はたくさん。後は若い人たちに任せる」。運営する開運夢通り商店街事務局の児玉晃一さん(53)は「川辺で昭和の心象風景と言える店。何とか残したかった。出店希望も何件かあり、生かしていきたい」と話している。
南日本新聞 | 鹿児島
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