サプリメントを信じる前に知っておくべき5つのこと、ずさんな表示の実態も
人気のマルチビタミン、コラーゲン、プロバイオティクス…毒になりうる場合とは
もし錠剤を1錠飲むだけで、突然、エネルギーがみなぎり、肌がきれいになり、心臓が健康になるとしたら? ドラッグストアのサプリメント売り場を通るたび、このような期待が手招きする。売り場には魚油のカプセルや、容器入りのコラーゲンパウダー、マグネシウムのチュアブル錠、そして、ありとあらゆるビタミン剤が並ぶ。 「病気を生む顔」になる食べ物とは 画像5点 実に魅力的だ。世界のサプリメント産業が2025年までに2000億ドル(約30兆円)規模に達すると予測されているのも不思議ではない。 しかし、これらのサプリメントにどれくらい効果があるのか、コストに見合うのかについて、筆者はいつもかなりの疑念を持っている。そこで、サプリメントに関してこれまでナショナル ジオグラフィックが報じてきた内容から得た洞察を紹介したい。ただし、健康について意思決定する際は、まず医師に相談してほしい。
1. サプリメントは厳しく規制されていない
サプリメントに関するナショジオの記事のほぼすべてが、ある重要なポイントを指摘している。米食品医薬品局(FDA)はサプリメントを医薬品と同じようには規制していないという事実だ。つまり、企業はサプリメントを市販する前にFDAの承認を得る必要がない(編注:日本でもサプリメントは薬機法上の規制の対象外であり、原則として一般の食品と同様の扱い)。 そのため、サプリメントには誤解を招くような表示が付いていることがある。米ニューハンプシャー州栄養学会の次期会長である登録栄養士のジェン・メサー氏は、米国で行われ、2023年7月に医学誌「JAMA Network Open」に発表された研究について教えてくれた。 この研究では、スポーツに有益な5つの成分のいずれかを含むと表示されているサプリメント57製品を分析したところ、84%の製品は成分量が表示と異なり、40%は表示されている成分が含まれていなかった。さらに、12%は「FDAが禁止している成分を表示なしで含んでいました」と氏は言う。 また、厳しい規制が存在しないことは、企業は製品に表示通りの効果がある証拠をFDAに示す必要がないことも意味する。米クラークソン大学の生物学教授デイビッド・ヒベット氏は、チャーガ(カバノアナタケ)やヤマブシタケのようなキノコのサプリメント市場が活況に沸いている現状を「西部開拓時代」に例えている。 「エビデンスはまだ非常に限られており、私の考えでは、これらの製品を栄養補助食品として売り込む正当な理由にはなりません」