エミネム、ベスト盤がヒップホップ・アルバムとして初めて米Billboard 200に700週ランクイン
今週まで、68年の歴史を持つ米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”に700週以上ランクインしたアルバムは5作しかなかった。今週、エミネムの2005年のベスト盤『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』が6作目となり、ヒップホップ・アルバムとしては初めてこの記録を達成した(2024年9月14日付チャート)。 ルミネイトによると、『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』は8月30日から9月5日までの期間に全米で8,000アルバム換算ユニットを売り上げ、198位にチャート入りした。 1956年にBillboard 200が毎週定期的に発行されるチャートとなった時から、700週の節目に到達したアルバムは他に5作しかない。その5作と、次に続くアルバムは以下のとおりとなっている。 990週 ピンク・フロイド『狂気』(原題:ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン) 851週 ボブ・マーリー『レジェンド:ザ・ベスト・オブ・ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ』 821週 ジャーニー『ジャーニー・グレイテスト・ヒッツ』 758週 メタリカ『メタリカ』 710週 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル『クロニクル~グレイテスト・ヒッツ』 700週 エミネム『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』 692週 ガンズ・アンド・ローゼズ『グレイテスト・ヒッツ』 692週 ブルーノ・マーズ『ドゥー・ワップス&フーリガンズ』 686週 ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』 642週 マイケル・ジャクソン『スリラー』 622週 AC/DC『バック・イン・ブラック』 619週 ケンドリック・ラマー『グッド・キッド、マッド・シティー』 611週 クイーン『グレイテスト・ヒッツ』 610週 アデル『21』 601週 ドレイク『テイク・ケア』 (『狂気』以外の作品は今週もチャート入りしている) 『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』は、エミネム初のベスト盤で、彼の最初の5枚のスタジオ・アルバム、『ザ・スリム・シェイディLP』(1999年)、『ザ・マーシャル・マザーズ LP』(2000年)、『ザ・エミネム・ショウ』(2002年)、『8マイル~オリジナル・サウンドトラック』(2002年)、『アンコール』(2004年)から4枚の楽曲が収録されている。このベスト盤には、彼がインタースコープ・レコードと契約する前にリリースした1996年のデビュー・アルバム『インフィニット』からの楽曲は含まれていない。 1999年に『ザ・スリム・シェイディ LP』がBillboard 200で2位を記録した後、『ザ・マーシャル・マザーズ LP』が1位で初登場し、今年7月にリリースされた最新作『ザ・デス・オブ・スリム・シェイディ(クー・ドゥ・グラス)』に至るまで11作がNo.1アルバムとなっている。その中に『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』も含まれ、2週首位を獲得している。 『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』がエミネムのスタジオ・アルバムのどの作品よりもチャートに長く留まったのはなぜか?その理由は、2009年に施行されたBillboard 200の規定によるものだ。 同年12月に米ビルボードは、1991年以来禁止されていたカタログ・アルバムのチャートへの再登場を許可した。 2014年にストリーミングがチャートに影響を与えるようになったことを受け、米ビルボードは複数のアルバムに収録されている楽曲(例えば、スタジオ・アルバムとベスト・アルバムの両方に収録されている楽曲)の割り当てに関するルールを制定した。それ以来、楽曲は、特定の週に最も多く売れたアーティストのアルバムに割り当てられることになった(従来のアルバム販売による)。つまり、『カーテン・コール。~ザ・ヒッツ』がチャートにこれほど長い期間ランクインできたのは、現在ではカタログ・アルバムも毎週チャートにランクインすることが認められていることと、このアルバムにはエミネムの初期の大ヒット曲(「Lose Yourself」、「My Name Is」、「Without Me」、「Stan」など)が多く含まれており、それらの楽曲は収録されたオリジナル・アルバムではなく、ベスト盤に収録された楽曲として毎週カウントされているからだ。