靖国参拝 米国の「disappointed」はどう解釈すべきか
同盟国に対して使うのは「異例」
その一方、“disappointed”はかなり強い表現だという声もあります。軍事ジャーナリストの田岡俊次氏によると、“disappointed”は「君にはがっかりした」というように使われ、「対等な相手、例えば他国などへの苦情、抗議では“regret”(遺憾とする)の語を使うのが一般的」。「“disappointed”は怒りの感情を交えた叱責の語感がある」ということです。さらに、ブログ「The Long Wait」は、やはりネットで検索した結果、ロシアのミサイル計画や中国の人権状況、ボスニアの改憲運動の失敗などに対する米国政府の声明で“disappointed”がヒットしたものの、「同盟国に対して米国が失望 disappointedを表明するのは異例」と指摘しています。
ただし、“disappointed”にどんな意味があるにせよ、重要なのは米国のメッセージにある「日本と近隣諸国の関係改善」の部分です。NHKニュースなどは今回、この声明を「米国が靖国参拝に失望」と報じていましたが、きちんと読めばわかるように、米国の言う“disappointed”とは日本の首相が「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動」をとったことに対するもの。靖国参拝自体の是非はともかく、米国や国際社会は、日本と近隣諸国が関係改善に努力することを一番望んでいるのです。 (野中ツトム/清談社)