靖国参拝 米国の「disappointed」はどう解釈すべきか
昨年末の安倍首相の靖国神社参拝が議論を呼んでいます。そのひとつが米国政府の声明の受け止め方です。日本の首相の7年ぶりの靖国参拝に対し、米国政府はただちに不快感を示す声明を発表。これまで米国は、小泉元首相をはじめ首相の靖国参拝について公式にコメントするのを控えてきましたが、今回は異例の対応だったことで新聞やテレビでも大きく報じられました。なかでも、注目を集めたのが声明のなかで使われた“disappointed”という言葉です。これは「失望」と訳されており、米国が強い抗議を表したものなのか、そこまで強い表現ではないのか、“disappointed”の解釈をめぐってさまざまな意見が出ているのです。 米国大使館による声明の日本語訳をみてみましょう。 「日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望(disappointed)している。米国は、日本と近隣諸国が過去からの微妙な問題に対応する建設的な方策を見いだし、関係を改善させ、地域の平和と安定という共通の目標を発展させるための協力を推進することを希望する」
「失望」というほど強い表現ではない
この“disappointed”はどのような意味なのでしょうか。まず、「失望」というほど強い表現ではないと言うのが「ヒゲの隊長」でおなじみの佐藤正久参議院議員です。佐藤議員は、文脈や日本語の感覚的には「『失望(望みを失う)』ではなく、日本のリーダーが取った行動は『残念』に思う」ぐらいの表現だとしています。また、元外務官僚の緒方林太郎元衆議院議員も「例外的に使われるような強い表現ではない」と主張。緒方元議員が「disappointed」「whitehouse」のキーワードを入れてネットで検索したところ、ロシアによる元CIA技術者・スノーデン氏の庇護、イランの米国人ジャーナリストに対する禁固判決、中国のWTOでの強硬姿勢などに対し、少なくとも6回は“disappointed”を使っていた、というのです。