大豆畑に青色LED照射→害虫被害3分の1に 道総研が実証
北海道立総合研究機構(道総研)は、大豆の畑に青色発光ダイオード(LED)を照射すると、害虫マメシンクイガの被害を3分の1に抑えられることを実証した。夜間も明るい状態をつくることで行動量を低下させ、同虫が嫌う青色の光を使うことで畑への飛来を防ぐ。農薬を使わない防除法として有機栽培での活用を視野に入れる。 マメシンクイガは幼虫が大豆のさやに入って子実を食害することで、収量や品質を低下させる。大豆の有機栽培では防除手段がないため、生産拡大の妨げになっている。 道総研は、マメシンクイガの成虫が昼から夜、夜から朝と明暗が切り替わる直前・直後に活動が活発になることを解明。光を照射して常に明るい状態をつくることで、活動量が低下して繁殖行動に影響することが分かった。 道総研は2021年から3年間、大豆畑でLED照射による被害抑制効果を調べた。「トヨムスメ」を作付けした畑の外縁に、20~30平方メートルに1灯の割合でLED(青、緑、黄色)を設置した。7月下旬ごろから約1カ月間、午後3時~午前7時に間断なく照射した。 その結果、緑、黄色では効果が見られなかったが、濃い青色(波長448~458ナノメートル)で被害粒率が減少。成虫が青色の光を嫌がり、畑への飛び込みを抑えられたことが大きいとみられる。昨年の試験結果では、照射しなかった場合の被害粒率は9・7%だった一方、照射した畑は3・5%と3分の1になった。10アール当たりの粗収益は、規格内の収量が増えたことで照射しない場合と比べ、1万6000円(11・7%)上回った。 照度は1ルクス以上で効果が高いが、明る過ぎると豆の成熟の遅れにつながるため注意が必要だ。また、開花期と同時に照射を始めると、さやの数が減って収量減につながるため、開花期1週間後以降が望ましいとする。 マメシンクイガは、幼虫が畑の土中で越冬するため、連作する畑では効果が劣る。また、電源の確保も課題になる。道総研は京都府の照明器具メーカーと連携し、コストや性能などを考慮した専用LEDの開発試験を来年度から行う予定だ。(小澤伸彬)
日本農業新聞