「生誕75周年特集上映」の松田優作さん 『蘇える金狼』撮影時に語った「銃へのこだわりと“愛情”」
松田優作さんの生誕75周年を記念して、東映とKADOKAWAが優作さんの出演作を特集上映する。 【ツーショット写真あり】松田翔太&秋元梢「ウェディングパーティー」超豪華な参列者たち 東京・銀座の丸の内 TOEI では「東映 Classics 松田優作」(3月15日~4月11日)と銘打って『最も危険な遊戯』(’78年)、『ア・ホーマンス』(’86年)など11作品。 角川シネマ有楽町では「角川シネマコレクション 松田優作の狂気」(3月22 日~4月4日)として『蘇える金狼 4K デジタル修復版』(’79年)、『野獣死すべし』(’80年)など6作品を上映する。 また韓国でも『Japan Foundation Movie Festival 2024:松田優作-野獣死すべし-』として2月にソウル・釜山の2都市で20作品が特集上映された。 「優作さんといえば、’73年に『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のジーパン刑事役で人気が出て、『人間の証明』(’77年)、『蘇える金狼』(’79年)、『家族ゲーム』(’83年)などの数々の映画で強烈な個性を発揮して一世を風靡。 膀胱がんと闘いながら出演したハリウッド映画『ブラック・レイン』(’89年)で鬼気迫る演技を見せ、同年11月16日に膀胱がんの転移により40歳の若さで早逝し“伝説のスター”となりました」(女性誌記者) 優作さんが『蘇える金狼』に主演したとき、’79年5月に東京湾の真ん中に浮かぶ人口島の第二海堡で行われたロケを取材したことがあった。 大藪春彦氏の同名ハードボイルド小説を原作に村川透監督で映画化。優作さん扮する主人公の朝倉哲也は、油脂会社の経理部に勤める真面目なサラリーマンを装っていたが、銃の扱いに長け、ボクシングジムで体を鍛える裏の顔を持ち、上司である経理部長(成田三樹夫)の風吹ジュンが演じる愛人を麻薬と肉体関係で篭絡して、会社乗っ取りを企てる。 第二海堡では優作さんが廃墟を走り回り、敵が仕掛けた刺客たちと激しい銃撃戦を繰り広げるシーンが撮影された。 銃で撃たれると赤い血糊が飛び出す仕掛けを考案して、ハリウッドでも活躍していたトビー・門口さんが銃のテクニカルアドバイザーを務め、撮影用のモデルガン100丁と薬きょう1000発を持ち込み、本格的な銃撃戦の撮影となった。優作さんは1週間ハワイで銃撃特訓を受けて、5000発の実弾を撃って撮影に臨むなど役作りは徹底していた。 撮影の合間に囲み取材に応じた優作さんは 「しょせんは演技だし、絵空事ですよね。本物の銃で撃ち合ってるわけじゃないですから。でも、ハワイで実際に(実弾を)撃ってみて、今まで映画とかテレビで随分安易に撃っていたことが分かった」 と、あの独特な野太い声で銃撃シーンに対するこだわりを語った。 「銃を持つときのストイックな姿勢、手、腕の使い方などの細かな演技とか、目に見えないところで随分違ってくると思います」 という。そして 「銃って大切に愛情をこめて扱わないと、怖いですよ」 と主人公の朝倉が乗り移ったようなニヒルな微笑を浮かべたのが印象的だった。風吹ジュン相手の濃厚なベッドシーンも話題を呼んで優作さんの代表作の一つとなった。 生誕75周年、没後35年を迎え、いまだに根強い人気がある優作さん。唯一無二の強烈な個性とリアルで華麗なアクションを見せた俳優・松田優作が今回の特集上映でスクリーンに蘇る。 文:阪本 良(ライター、元『東京スポーツ新聞社』文化社会部部長) 現在はWebマガジン『PlusαToday』を始め、芸能、映画、ハリウッド情報などの記事を執筆。日本映画ペンクラブ会員
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