深夜でも超高視聴率、伝説の恋愛バラエティ『ねるとん紅鯨団』視聴者を夢中にさせた“革新性”
■流行語の玉手箱!あの言葉はここから生まれた
『ねるとん』では、先ほどの「タカさんチェック」「ちょっと待った!」をはじめ数々の流行語が誕生した。特に「ちょっと待った!」は当時の若者の間で流行り、日常生活の中でネタとして使う人も多かった。 さらに、令和の今でも普通に使われるほど一般に浸透した言葉もある。たとえば「彼女・彼氏いない歴」だ。この言葉は、とんねるずが出演者にシングル期間を聞くために使いだしたもので、いない歴=数か月から、いない歴=年齢という人まで様々な人物が登場した。 また、異性と2人きりになることを「ツーショット」と言うが、実はこれも『ねるとん』生まれ。もともとは2人の人物を1つの画面に入れることを指す和製英語の撮影用語だったが、とんねるずが番組のフリータイム中に話し込む男女にこの言葉を使ったことで別の意味が広がった。1990年には「現代用語の基礎知識」にも掲載されている。 「大どんでん返し」も、番組で話題を集めた言葉の一つだ。元々は仕掛けをひっくり返して舞台を変える歌舞伎用語だが、「状況がひっくり返る」という意味で使われることが多い。タカさんは、カップル成立間違いなしと思われていた男女がダメになった時などに、「大・どん・でん・返し!」と使い、告白を盛り上げていた。
■芸能人だらけの豪華スペシャル『ねるとんね紅鮭団』
『紅鯨団』の出演者は一般人のみだが、1989年に正月に放送された『仁義なき花の芸能界全部乗っ取らせていただきますスペシャル』の中で、芸能人が出演するセルフパロディ『ねるとんね紅鮭団』が企画された。 芸能人の集団お見合いということで、話題性も注目度も高かったこの企画は大ヒット。放送回数を重ね、2000年からは『とんねるずのみなさんのおかげでした』内の年末企画として『ねるとん紅鯨団芸能人スペシャル大会』が放送された。 プロ野球選手などのアスリートからアイドル・女優・俳優まで幅広い芸能人が出演したが、中でも2度に渡って出演した柳沢慎吾さんは大きなインパクトを残している。 印象的なのは1989年の第一回目だ。この時柳沢さんは、元おニャン子クラブの内海和子さんに告白して撃沈。「そんな……」とよろけ、去り際に「あばよ!」と言い放つのである。後に柳沢さんの鉄板ネタとなる「あばよ!」、そのきっかけを作ったのはタカさんの「慎吾ちゃんなんか一言言ってあげたほうがいいよ」というアドバイスだった。咄嗟に出たという「あばよ!」とコミカルな動きは大いにお茶の間を沸かせた。 また、1993年に出演したナインティナイン・岡村隆史さんも同企画を機に飛躍した人物の一人だ。当時の岡村さんは「吉本印天然素材」で関東に進出してきたばかりで、全国区はおろか関東でも知名度は低かった。 爪痕を残すべく奮闘した岡村さんは、元バレーボール日本代表の益子直美さんにプレゼントを渡して告白。「ごめんなさい」をくらったが、この出演をきっかけに知名度がグンと上がっていった。 芸能人スペシャルではないが、1990年放送の『紅鯨団』には“ランチショップたきたて勤務・彼女いない歴10ヶ月”という素人時代のネプチューン・原田泰造さんも出演していた。が、残念ながらこちらも結果は撃沈である。 同じスタイルのお見合い番組も数々製作されたが、放送開始から35年以上が経過しても語り継がれるレジェンドはやはり『ねるとん』しかないだろう。ちなみにタカさんは、2019年にAbemaTVの特別番組『石橋貴明プレミアム第4弾 恋する沖縄48時間ムーンビーチでタカさんチェック!』で令和版の『ねるとん』を開催している。気になる人はチェックしてみてはいかがだろうか。
さえきしの