簡単そうなのに、意外に答えられない「正三角形は、二等辺三角形ですか?」…正解より知識の「しんか」が問われます
東大や京大ほか、難関大学が出題した入試問題には、「数学の本質」がいっぱい詰まっている! 「よりすぐりの良問」を格好の素材として活用する新しい学習法を紹介した『中学数学で解く大学入試問題』が話題になっています。 中学数学の限られた知識や技術で、大学入試問題がなぜ解けるのか? どう解くのか? 思考過程を重視した素朴な解法を通して、有名大学の問題が「わかる喜び」「考える楽しさ」を体感すれば、「数学的思考力」が驚くほど身につく! *本記事は、『中学数学で解く大学入試問題 数学的思考力が驚くほど身につく画期的学習法』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
あらゆる三角形の関係を識る
前半の記事で、数学においては「基礎から積み上げる」ことが大切だということと、知識が「点」でとどまることなく、「線」、さらには「面」へと広がっていくことを意識ししてほしいと述べました。 では、知識が「線」となった状態とはどのようなものでしょうか。このことを確認するために、前半の最後でおこなった問いかけを再度、掲げます。 問題 「正三角形は、二等辺三角形ですか?」 正三角形と二等辺三角形それぞれの定義は、以下のとおりです。 正三角形……3つの辺が等しい三角形二等辺三角形……2つの辺が等しい三角形 3辺が等しければ、そのうちのいずれの2 辺も等しいので、正三角形は二等辺三角形の特別なものと考えることができます。したがって、正三角形は二等辺三角形です。 それでは、二等辺三角形や直角三角形、直角二等辺三角形といった、さまざまな三角形の関係を整理してみましょう。 次のベン図をご覧ください。 この例に見られるように、知識とは単なるバラバラの記憶ではありません。 「知識=識別を知ること」ですから、ある三角形が、他の三角形とどのような関係にあるかを理解している状態が、知識が「線」になった状態です。 ここではさらに、知識を「面」にすることを理解するために、四角形に進みます。